2021年09月15日、北朝鮮が弾道ミサイルを2基発射したようですが、中国の王毅外相が韓国を訪問しており、韓国・文在寅大統領との会談を行いました。
韓国青瓦台・大統領府はプレスリリースを出し、会談冒頭での文大統領の発言を紹介しました。以下はその和訳全文です(面倒くさいという方は飛ばしてその下の中国外交部のプレスリリースへどうぞ)。
王毅国務委員兼外交部長の訪韓を歓迎します。
昨年に続いて今年も訪韓してくださり、コロナ状況の中でも両国間のハイレベルの交流が緊密に続いていることをうれしく思います。
来年の修交30周年を控え、より成熟した韓中関係の未来を一緒に開いていかなければならない時に訪韓していただいたことはさらに意味深いものです。
習近平主席にも心からの謝意を伝えてください。
習主席とはコロナ状況下でも緊密にコミュニケーションし、防疫協力と人的交流の活性化に合意しました。
両国は、迅速な交通制度、また北東アジア防疫保健協力発足など、模範的なコロナ対応協力事例を作ってきました。習主席とは未来を一緒に切り開いていくための意を共にしています。
韓中文化交流の年を宣言し、両国民の相互理解と友好感情を増進する契機を用意して、韓中関係の将来の発展委員会を発足し、今後30年間の両国関係の発展のために一緒に準備していくことにしました。
私と習主席が共に行った重要な合意が円満に履行され、また、満足のいく成果を収め、戦略的協力パートナー関係がより高い段階に発展していくことを期待します。
これまでの朝鮮半島の和平プロセスの推進過程で果たした中国の役割と貢献を評価しています。
今後も、私たちの政府は、中国を含む国際社会と朝鮮半島の非核化と平和定着のために努力します。
中国の根強い支持を願って、これからも王国務委員が韓中関係の発展と朝鮮半島の非核化と平和定着のために、韓国政府の努力を後押しする大きな役割をしてことを期待します。
ありがとうございます。
⇒参照・引用元:『韓国 大統領府』公式サイト「王中国国務委員兼外交部長との会見での冒頭発言」
※赤アンダーラインや強調文字は筆者による(以下同)
では、中国外交部が出したプレスリリースを見てみましょう。以下が和訳全文です。
韓国の文在寅大統領は、現地時間の2021年9月15日、韓国を公式訪問している王毅国務委員兼外相とソウルで会談した。
文氏は王毅氏に、韓国は中韓関係を非常に重要視しているので、習近平国家主席に心からの謝意を伝えてほしいと依頼した。
コロナ流行の状況下で、韓国と中国は高いレベルでの緊密なコミュニケーションを維持し、経済・貿易協力では、世界のトレンドに反して成長し、流行に対抗するための国際協力の模範を示した。
韓国と中国の関係は、過去30年間に重要な発展を遂げ、将来的にはさらに大きな可能性を秘めている。
中韓国交樹立30周年を機に、次の30年の韓中関係の方向性を企画・設計し、より成熟した韓中関係を切り開いていきたいと考えている。韓国は、中国と協力してハイレベル協議を維持し、中韓関係の将来の発展に関する委員会の役割を果たし、人文学的な交流を拡大し、貿易、経済、環境保護の分野でより実りある協力を進めていきたいと考えている。
韓国は中国の北京冬季オリンピック開催を支持している。
中国が朝鮮半島の平和維持に貢献していることを評価すると共に、中国が朝鮮半島の平和維持と非核化の実現に向けて引き続き建設的な役割を果たすことを期待している。
王氏は、習近平国家主席の心からの言葉を文氏に伝え、「中国と韓国は切っても切れない近隣国であり、親戚のように頻繁に行き来すべき互恵的なパートナーである」と述べた。
両首脳の戦略的なリーダーシップの下、中韓関係は健全な発展の勢いを維持しており、疫病と共に闘うことにおいて、双方の友情はさらに深まっている。
双方は、外交関係樹立30周年を機に、「中韓関係の将来的発展に関する委員会」の役割を十分に発揮し、次の30年の中韓関係の発展のために、前向きで、現代的で、運用可能なアイデアやイニシアチブを提案し、中韓関係のより一層の発展を図るべきである。
中国は、韓国とのハイレベルな交流を維持し、経済、貿易、人文科学、環境保護の分野での協力を強化し、両国民間の友好的な交流を拡大する用意がある。
中国は、困難を克服し、干渉を取り除き、関係を改善することにおいて、半島の南北両方をしっかりと支援し、半島の平和と安定を維持し、半島の長期的な平和と安定を達成する上で建設的な役割を果たし続ける。 。
⇒参照・引用元:『中国外交部』公式サイト「韩国总统文在寅会见王毅」
両方とも中韓の交流を深めようという美辞麗句に満ちていますが、韓国側のプレスリリースになくて、中国側のプレスリリースにはある文があります。
韓国は中国の北京冬季オリンピック開催を支持している。
となっています。文大統領は中国側に北京五輪支持の言質を取られたようです。中国外交部に発表されてしまいました。
もちろん、文大統領はあわよくば北京五輪で南北首脳会談を開きたいと考えているでしょうから、自分では言わなくても、道具として使える北京五輪は支持しているはずです。
また、見逃してはいけないのは中国が「朝鮮半島の南北を支援し」と自分で書いていることです。対北朝鮮において、中国を頼みにしてはいけませんね。
(吉田ハンチング@dcp)