CPTTP加盟国の中に台湾加盟を拒否する国が3つある「お前やー」という話

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嘉門達夫先生の「お前やー」みたいな話です。

中国が『CPTTPに正式加盟申請を行い、間髪入れずに今度は台湾が正式に加盟申請を表明しました。

中国の加盟申請が明らかになったのが2021年09月17日(実際の申請は16日とのこと)、台湾の加盟申請が明らかになったのは09月22日です。

読者の皆さまもご存じのとおり、翌23日、台湾の『CPTPP』加盟申請に対して中国はすぐさま「反対」の声明を出しました。

「シュタッ!」と質問者を促す姿勢でおなじみの中国外交部の趙立堅報道官が、これまた毎度おなじみの眉間にしわを寄せた表情で「我が国は、いかなる国でも台湾と公式な交流を持つことに断固反対する。また、いかなる公式な条約や機関でも台湾地区を加入させることに断固反対する」と述べました。

どっちが先に加盟するかで相手を加盟できなくできる

『CPTPP』のルールでは、ある国を加盟させるためには加盟国全員の賛成が必要です。

中国が加盟申請を出したので台湾は焦って申請を出したのです。もし仮に中国が先に『CPTPP』に加盟してしまったら、その後、台湾の加盟申請を却下するに決まっています。台湾としては万が一にも中国に先に『CPTPP』に加盟されるわけにはいかないのです。

逆に、中国からすれば入ってしまえばこっちのもので、他の加盟国が台湾加盟を承認しても、中国が「」と言い続ける限り絶対に台湾は『CPTPP』に加盟できません。

しかし、情勢は面白いことになっており、中国の正式な『CPTPP』加盟申請が明らかになった際には「新規加入できるような状況ですかねえ」などと渋いことを言っていた麻生太郎財務相も台湾の加盟申請については、以下のとおり肯定的な発言を行っています。

「台湾ていうのは日本と同じ……なんていうのか、自由とか民主主義とか基本的人権とか、法の支配等々……基本的な価値観というものを共有しておりますし、密接な経済関係というものもあるんで、極めて重要なパートナーなんじゃないんですかね。

台湾は、今般加入申請をしてこられたっていうことは……こりゃあ……日本として、あのう……歓迎すべきこと、なんじゃないですかねえ(後略)」

⇒参照・引用元:YouTube『TBS NEWS』公式チャンネル「台湾のTPP加入申請『歓迎すべきこと』麻生財務相」

中国からすれば1国でも台湾加盟に反対してくれればいい

日本の閣僚(しかも重鎮)が台湾の加入は歓迎すべきとしたのですが、これでまた中国が怒り心頭です。特に日本について名指しで批判はしていませんが、台湾の加盟を絶対阻止すべく、『CPTPP』加盟国に対しての圧力を強める動きを始めました。

中国自身は加盟国ではありませんが、加盟国のどこか1カ国でもいいので台湾の加盟に反対してくれればいいわけです。

『CPTPP』加盟国は以下の11カ国

オーストラリア
ブルネイ
カナダ
チリ
日本
マレーシア
メキシコ
ニュージーランド
ペルー
シンガポール
ベトナム

2018年03月にいわゆる「TPP11協定」に締結した11カ国。このうち、国内手続きが終了し、2021年09月25日現在で発効済みなのはメキシコ、日本、シンガポール、ニュージーランド、カナダ、オーストラリア、ベトナム、ペルーの8カ国です。

この中で、中国の意を受けて「台湾のCPTPP加盟に反対しそう」なのはどの国か?です。

すでに中国共産党英語版御用新聞『Global Times』がその読みを披露しています。

(前略)
Japan, which holds the rotating CPTPP chairmanship this year, is likely to use Taiwan as a “chip” to bargain with the mainland to gain benefits, while another member state, Canada, is likely to follow suit at the behest of the US, according to Zhang.

Zhang氏によると、今年『CPTPP』の持ち回り議長国を務める日本は、台湾を「チップ」として大陸と交渉して利益を得る可能性が高く、もう一つの加盟国であるカナダもアメリカの要請に応じて追随する可能性があるという。

Meanwhile, Singapore, Vietnam and Brunei, among other CPTPP members that have close political and economic partnerships with China, will not challenge China’s bottom line on the Taiwan question to the detriment of their national interests. “This is nothing but a farce written by the US and Japan and performed by the DPP,” Zhang remarked.

一方、中国と政治的・経済的に緊密な関係にあるシンガポールベトナムブルネイなどの『CPTPP』加盟国は、国益を損ねてまで台湾問題で中国の底力に挑戦することはないだろう。

「これはアメリカと日本が書いた茶番劇を民進党が演じているに過ぎない」とZhang氏は指摘する。
(後略)

⇒参照・引用元:『Global Times』「Taiwan DPP blasted over using CPTPP bid to seek secession」

シンガポールベトナムブルネイの3カ国は中国との関係が深いので中国の怒りを買ってまで台湾の加盟に賛成することはないだろう――と読んでいるわけです。

確かにこの3カ国は中国の意向を汲んで反対に回る可能性が高いとは考えられます。しかしながら、ベトナムにしてもブルネイにしても(シンガポールはちょっと置きます)中国に対して反感がないわけではありません。特に近年ベトナムでの反中感情の高まりは大きなものです。

幸いなことに本年の『CPTPP』の議長国は日本です。

ベトナムの内に秘めた反中感情を利用してある程度の説得が期待できます。また、ブルネイはそもそも日本統治が行われていたこともあり、中国などよりよほど関係が深い国です。ブルネイも日本の説得をある程度聞いてはもらえそうです。

もし本当に日本が台湾の加盟を応援したいなら、日本の持つ全てのコネクション、資産を活用すべきでしょう。

ただし、台湾を完全に信じるのも考えものです。台湾内に中国共産党の息のかかった勢力が健在だからです。『CPTPP』の内側に入り込まれた後でかき回される可能性があることを考え、対処法を用意しておかなければなりません。

中国に入り込まれた『WTO』(World Trade Organizationの略:世界貿易機関)がいかなることになったのかを他山の石とすべきです。

CPTPPは「Comprehensive and Progressive Agreement for Trans-Pacific Partnership」の略で「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定」。

(吉田ハンチング@dcp)

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