韓国は、今年も信用格付け会社との協議シーズンとなっています。
知らない方がいらっしゃるかもしれませんが、韓国は毎年信用格付け会社とネゴネゴするという不思議な国なのです。
日和った『Fitch(フィッチ)』はすでに韓国の格付けを「AA-」に据え置きましたが、残る『Moodey’s(ムーディーズ)』『S&P(スタンダード&プアーズ)』がどうするのかが注目されます。
で、いよいよ2022年02月21日には『ムーディーズ』との協議に入ります。
現在、韓国国会では追加予算の規模を膨らませと、与野党を問わずヤイヤイ言っていますが、洪楠基(ホン・ナムギ)副首相兼企画財政部長官は頑として首肯しません。
追加予算の規模をなんとか政府案である「14兆ウォン」規模にとどめようとしています。
洪さんは、信用格付け会社との協議で最前線に立たなければならない「企画財政部のTop」なので、「これ以上、国の負債を増やしたら格付けが落ちる」と分かっているからです。
韓国メディア『中央日報』の記事によれば、『延世大学』のキム・ジョンシク経済学部名誉教授は以下のように述べています。
(前略)
「最近は貿易収支赤字が発生している上、財政赤字まで大きくなれば信用格付け会社の評価は否定的に変わるしかない」とし「評価が悪くなれば国内資本流出の危険が生じるだろう」と分析した。キム教授は特に「アメリカ合衆国が03月に基準金利を引き上げれば、資本流出がより早くなり、家計負債、不動産バブルがある韓国経済はさらに難しくなる可能性がある」とし
「通貨政策ではインフレを抑制しようとする一方で、政治に圧倒されて財政政策はお金を緩和しており、政策効果が現れないだろう」と指摘した。
(後略)
キム教授の指摘するところを洪長官も理解しているので、政府案を拡大するのには反対なのです。
赤いアンダーラインの部分はMoney1でも何度か指摘していることです。インフレ抑制のためお金を絞らないといけないのに、政府はお金をまき続けているため、「政策効果は薄い」とキム教授も指摘していらっしゃいます。
つまり『韓国銀行』の金融引き締め方向と、政府の金融緩和方向が真逆であるため、ダメだと言っているのです。韓国内はもはやバラバラといっていいでしょう。
そして、『韓国銀行』の李柱烈(イ・ジュヨル)総裁と企画財政部の洪楠基(ホン・ナムギ)長官は、恐らく「このままではダメであること」も熟知しています。でもポピュリズム政治を抑えることができないのです。
止められるとしたら、大権を持つ大統領だけですが、矢面に立つのを避け、何より経済についてはなんの知識もない文大統領がそんなことをするはずもありません。
大統領も含めて最悪の状況の中、それでもなんとか最善を取ろうと努力する李柱烈(イ・ジュヨル)総裁と洪長官の二人。筆者は決して嫌いにはなれません。
――韓国とはなんとつらい国であることでしょうか。
21日に『ムーディーズ』との協議、残る1社『S&P』とは03月に協議を行います。
文政権によって政府負債、家計負債が史上最高に膨らんだ韓国リスクを信用格付け会社がどのように見積もるのか。ご期待ください。
(柏ケミカル@dcp)