韓国が03月に経済危機になる、いや04月だなど巷間ささやかれているようです。さあどうでしょうか。経済危機に陥るにはその前段階で予兆があるものです。
今回は、2008~2009年の「韓国通貨危機」前にいったい何が起こっていたのかについてご紹介します。
国際収支統計のデータをさかのぼってみます。国際収支というと面倒くさいと思われるかもしれませんが、どうか一席お付き合いのほどを。
経常収支は赤字スレスレまでへこんだ
まず以下です。国際収支統計の中の「経常収支」を見てみます。
経常収支が、2006年はたったの「21億ドル」(約2,428億円)しかありませんし、2007年もわずか「105億ドル」(約1兆2,142億円)です。
韓国の屋台骨を支える「貿易収支」は「2006年:245億ドル」(約2兆8,332億円)と前年比で25%も減少しています。
また2007年には324億ドル(約3兆7,467億円)と回復しましたが、当時の韓国は経常収支を構成する他の3つの項目が、
第一次所得収支:-45億ドル(約-5,204億円)
第二次所得収支:-44億ドル(約-5,088億円)
と大赤字で、貿易収支が弱ってくるとたちまち経常収支が赤字転落の危機になるという状況だったのです。
貿易収支が弱りだすと危ないというのは現在の韓国も同じです。
※この時期の韓国のサービス収支などについては興味深い点があるのですが、話が長くなるので細目に下りていくのは端折らせていただきます。
巨額の負債で巨額の投資を行っていた韓国
次に国際収支統計の中の「金融収支」を見ると、以下のように巨額の数字があります。
まず「直接投資」の収支です。2006年はともかく、2007年には130億ドル(約1兆5,033億円)もプラスです。
収支は資産から負債を引いたものなので、資産が130億ドルも増えたのです。
また、対外資産が130億ドルも増えたわけですので、これはその分の資金が外国へ出ていったことになります。巨額のキャッシュアウトです。
また、「証券投資」の収支を見ると、「2006年:234億ドル」(約2兆7,060億円)、「2007年:271億ドル」(約3兆1,338億円)もプラスです。
無茶苦茶な金額ですが、同様にこの分の資金が外国に流出したわけです。
「どこにそんなお金があったんだ」という話なのですが、「融資」が計上される金融収支の中の「その他投資」の収支を見ると以下のようになっています。
なんと2006年は「-364億ドル」(約-4兆2,093億円)、2007年は「-326億ドル」(約-3兆7,699億円)と巨額のマイナスです。
収支は「資産から負債を引いたもの」なので、マイナスということは負債が無茶苦茶に増えたことを意味します。
で、さらに細目を見ると……。
2006年は「423億ドル」(約4兆8,916億円)、2007年は「342億ドル」(約3兆9,549億円)も短期融資による負債が増加しています。
呆れるような負債増です。しかも「短期」負債なので1年以内に返さないといけない負債です。
つまり、金融収支から浮かび上がってくるのは、外国から巨額の融資を受けて、そのお金を元に巨額の投資(直接投資、証券投資など)を行っていた韓国の姿です。
そして大クラッシュ!
つまり、韓国通貨危機前の韓国は、
(貿易のもうけが十分でなかった)
(外貨準備を積んでいける状況ではなかった)
・外国から巨額の短期融資を受けていた
(外国から巨額の借金をしていた・しかも返済は1年以内)
・借金で巨額の投資を行っていた
となっていたのです。
ここに来たのが2008年のリーマンショックです。韓国はどうなったか?
投入した資金の先、資産価格が暴落して巨額の損失を生み、借金返済が迫ってくる、しかも不景気で貿易収支はさらに減る――すなわちインカムがない、これでは飛ばない方がおかしいというものです。
当然のごとく韓国は経済危機に陥り、アメリカ合衆国、中国、そして日本に助けを求めることになりました。
さて翻って現在。韓国に経済危機が訪れる兆候はあるでしょうか。
※ドル円の換算は当時のレートではなく2022年02月15日の「1ドル=115.64円」で行いました。誠に申し訳ありません。
(吉田ハンチング@dcp)