これもケンチャナヨ精神の現れと見るべきでしょう。
韓国メディア『東亜日報』のスクープですが、先にご紹介した「3割施工してから設計変更していた」と同様の事実が明るみに出ました。
先にご紹介したのは鬱陵島ですが、今回は「白翎島(白ニョン島)空港」です。
上掲が白翎島の場所ですが、北朝鮮の方に近いものの韓国の施政下にあります。ここに2027年竣工を目指して空港を造っているのです。
実はもう一箇所あって、それが「黒山島」です。場所は以下になります。
先にご紹介した鬱陵島、今回発覚した白ニョン島、黒山島共に、離島に空港を造ろうという計画の一環です。それ自体は別に悪いことではありません。
しかし、計画がずさんで途中で設計から変更しなければならないという事態に陥っています。
鬱陵空港と同じですが、白ニョン島、黒島島の空港も乗員50人規模の飛行機が離着陸することを想定して設計されたのですが、韓国にその規模の飛行機を運用している航空会社はありません(この先にも導入予定がない)。
そのため、乗員80人規模の飛行機が離発着できる規模の空港に今から拡大しなければならないのです。
運用する機種は、フランス『ATR』の「ATR 72」、あるいはブラジル『エンブラエル』社の「E190-E2」などが想定されます。
↑「ATR 72」は、フランスとイタリアの航空機メーカー『ATR』が製造するターボプロップ双発旅客機。乗員2名(パイロット)、定員64~72席。
↑「E190-E2」は、ブラジルの航空機メーカー『エンブラエル』が製造する双発ジャットエンジン旅客機。乗員2名(パイロット)、定員97~106席。
先行している鬱陵空港造成では、想定機種変更によって空港の大きさが元のサイズに拡大されるという、いわば「振り出しに戻る」となりました(このドタバタについては以下の先記事を参照してください)。
鬱陵空港の場合、問題は「すでに3割施工が進んでおり、そこからの変更」という点です。
これによって、総事業費は5,755億ウォンから6,633億ウォンへ878億ウォン増加すると見られています。
また、開港も遅れます。鬱陵空港は、当初2025年開港の予定でしたが、2026年初めに延期。
白ニョン島と黒山島との空港は、2027年開港が目標ですが、新基準による設計案を作成しなければならず、日程はさらに遅延すると見られます。
しかし、本当に問題なのは「安全性」です。
お金がないので有視界飛行専用の空港になる!
本件を追っている韓国メディア『東亜日報』によると、さらに注目されるのは、これら離島の空港が「有視界飛行」による進入を前提とした設計になっていることです。
『メーデー』ファンの皆さんなら「大丈夫なのか?」と思われるでしょう。
『東亜日報』は以下のように書いています。
(前略)
特に、3つの空港(鬱陵・白ニョン・黒山)供に追加敷地や事業費の確保が難しいという理由で離着陸時にパイロットの目に頼る「有視界飛行」基準で運営される予定で、安全性と定時性に対する懸念も出ている。航行施設の助けを借りて離着陸する計器飛行方式を維持する場合、空港規模を2Cから3C等級に上げるためには、着陸帯の幅は最大280mに増やさなければならない。
この場合、工事費が従来の1.5~2倍に増加すると国土部は見ている。海上埋め立て型である鬱陵空港の場合、工事費が現在約7500億ウォンから1兆5,000億ウォンまで膨らむと推定された。
このため、国土部は飛行方式を計器飛行から時計飛行基準に設計を変更している。
有視界飛行は、パイロットが直接目で地形地物などを確認しながら飛行する方式だ。
有視界飛行空港は、3C等級でも着陸台の幅を150mまで増やすだけでよく、蔚陵空港の場合、数十億~数百億ウォンの工事費だけで済む。
実際に黒山空港は着陸台幅を既存の80mから150mに、終端安全区域を30mから90mに設計変更した。
蔚陵空港は着陸台幅を140mから150m増やすことにした。白ニョン空港は設計基本計画を確定する段階だ。
しかし、有視界は悪天候や霧、夜間などには離着陸が難しく、島嶼地域では頻繁に欠航が発生する可能性が高い。
国内航空会社のあるパイロットは「有視界飛行でいくなら、航行安全に関するさまざまな装置を設けるなど、安全関連の代替案を追加で用意しなければならない」とし「この状態では乗客やパイロットの両方が回避する幽霊空港になるかもしれない」と語った。
(後略)
『東亜日報』によれば、今から無理やり設計変更をして造成するけれども、投入できる資金が限られているので、有視界飛行で利用する空港になる――というのです。
つまり、離発着についてはパイロットの腕次第です。事故が起こったら、それこそ「ベテランはフラグ」など、『メーデー』のネタになりそうです。
もうやめた方がいいのではないでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)