短信です。誠に申し訳ありません。
尹錫悦(ユン・ソギョル)韓国次期大統領が派遣した、例の「米韓政策協議代表団」が2022年04月03日、アメリカ合衆国ワシントンD.C.ダレス国際空港に到着しました。
団長を任ぜられた朴振(パク・ジン)議員は記者団の取材に答えています。本件を報じた『中央日報』の記事から以下に一部を引用します。
(前略)
「韓国の新政府に対して合衆国側がかなりの期待を持っているようだ」とし「特に北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射するなど朝鮮半島の安全保障が厳しい状況だ。合衆国の安保公約を確認して米韓同盟を包括的な戦略同盟に発展させるためにできる方策がなんなのか、深く議論してみたい」
(後略)
「合衆国が韓国新政府に対してかなり期待を持っている」と述べています。
親北・親中の進歩政権から保守寄りの政権になりますので、合衆国の期待が大きいことはうなずけます。全くそのとおりでしょう。
その期待は、バイデン大統領が当選すぐの尹錫悦(ユン・ソギョル)さんと電話会談を行ったことでも裏付けられています。
注目ポイントは、朴議員の「米韓同盟を包括的な戦略同盟に発展させる」という点です。この発言の意味はなんでしょうか。
トランプ政権時代には、米軍は朝鮮半島から撤収しようかな、という態度を見せてきました。一方の韓国も、親北の文政権は米軍を軽んじ、出て行ってくれといわんばかりの態度を取りました。米韓軍事演習も「机上演習」に終始する始末。
図らずも、合衆国・韓国の両方が朝鮮半島から米軍が撤収するという目標で一致していたのです。歴史の皮肉という他はありません。
トランプ政権の後を受けて誕生したバイデン政権も北朝鮮については、韓国を冷遇しつつほとんど傍観の態度を取ってきました。しかし、親米政権ができるのであれば態度を変えるかもしれません。
ただし、「包括的な戦略同盟」の意味が有事の際の自動参戦義務といった部分まで踏み込むということなら、合衆国は拒否すると思われます。アジアの辺境の地で合衆国の若者が死ぬことを合衆国の世論が許さないだろうからです。
あるいは、北朝鮮の核に対抗するため「核シェア」の提案を行うつもりでしょうか。言うだけタダなのでこれもあり得ます。
もし「包括的な戦略同盟」の意味が、「日米韓の軍事同盟」的なことであれば、これは中国との「三不の誓い」に逆らうことになります。
①アメリカのミサイル防衛に参加しない
②日・米・韓の安保協力を軍事同盟化しない
③THAADの追加配備をしない
もし韓国がこれを合衆国側に提案したことが漏れたら、韓国は中国から手ひどい制裁を受けるでしょう。
韓国が合衆国とどのような「安全保障についての議論」を行うのか、日本も注目する必要があります。すぐ斜め上にある国の話ですから。
(吉田ハンチング@dcp)