韓国「もう徳政令しかないのでは」物価と金利を変動させるな!と無理難題

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来る2022年05月10日から韓国では尹錫悦(ユン・ソギョル)新政権が始動します。

Money1でも何度か取り上げていますが、公約だった「50兆ウォンのばらまき(支援)」が本当に行われるかどうかが注目されています。

韓国経済(そして政府財政)がまずい状態になっているので、「50兆ウォンにこだわらなくてもいいんじゃないの」という意見が韓国メディアでも散見されるようになってきました。

例えば、『朝鮮日報』には「『追加予算50兆』公約に執着する時ではない」という社説が出ています。以下に記事の一部を引用してみます。

(前略)
アメリカ合衆国発の緊縮が世界金融市場のあちこちで緊縮発作を起こす可能性が高い。

1997年初め、合衆国が金利を上げると、タイインドネシアマレーシアなどでドル投資金が大挙流出し、東アジアで通貨危機が発生した。

韓国は現在、外貨準備を4,600億ドル持っており通貨危機の可能性は低いが、1,800兆ウォンを超える家計負債が問題だ。

金利が1%上がっても利子払いが年間18兆ウォンの追加負担となる。

(中略)

このような状況で大統領選挙公約という理由で追加予算50兆ウォンを編成してお金をまくことは火に油を注ぐ事態になり得る。

物価をさらに刺激するだけでなく、赤字国債を大量に発行すれば市中金利を引き上げて債務者の利子負担をさらに上げることになるだろう。
(後略)

⇒参照:引用元:『朝鮮日報』「[사설] 미국 ‘쌍끌이 긴축’ 돌입, ‘추경 50조’ 공약에 집착할 때 아니다」

タイインドネシアマレーシアなどでドル投資金が大挙流出し、東アジアで通貨危機が発生した」と書いていますが、自分の国は入れていませんね。

韓国でも通貨危機に陥り、『IMF』(International Monetary Fundの略:国際通貨基金)の支援でなんとか助かったのです。ごまかしてはいけません。

また外貨準備高「4,600億ドル」としていますが、実際の危機時に使える金額が本当にそれだけあるのかは疑問です。なぜなら、2020年03月、世界的にドルが枯渇して韓国もドボン寸前となって、合衆国が提供したドル流動性スワップ(いわゆる通貨スワップ)にやっと救われたのですから。

このとき、韓国の外貨準備は「4,002億ドル」あったはずなのです(『韓国銀行』発表による:2020年03月)。

なぜ、ドル流動性スワップで約200億ドルも借りなければならなかったのでしょうか。

それはともく、「50兆ウォンまくと火に油を注ぐことになり得る」という認識は正しいです。

韓国政府にそのような財政余力はないので、財源のほとんどを赤字国債の発行に頼ることになり、これによって金利がさらに上がるのは火を見るより明らかです。また、市中にお金をまきますから、その分お金の価値が下がり、物の価値を上げます。つまり、インフレを進行させます。

この記事は最後の段落が面白いのです。

(前略)
内外経済環境が急変しただけに「追加予算50条」公約に執着せず、​​物価と金利を刺激せずに自営業者を助ける方法を模索し、これに基づいて追加予算を新たに組む策を講じなければならない。
(後略)

尹錫悦(ユン・ソギョル)新政権の公約であった「50兆ウォンの支援を行う」に執着するな――はいいとしても、「​​物価と金利を刺激せずに自営業者を助ける方法」といっています。

どないせえっちゅうねん、という無責任な提言です。

前記のとおり、自営業者を支援するためにお金をまけば、お金の量が増え、つまりお金の価値が下がり、相対的に物の価値が上がります。つまり物価が上がりインフレが進行します。

こういうのはどうでしょうか。

自営業者を救済するため、現在返済が猶予されている133兆ウォンを全部棒引きするのです。大統領引き継ぎ委員会の安哲秀(アン・チョルス)さんが準備しているBadBank(バッドバンク)が銀行から不良債権として全部買い取り、政府が少しずつ返済することにするのです。

これであれば、お金をまかずに済みます。1年の返済上限をインフレを進行させない程度、そして政府負債をできるだけ抑えられる程度(資金調達にじゃぶじゃぶ国債を発行すると金利が上がるので)に設定して、インフレが一服するまで(いつになるか分かりませんけれども)はそれで凌ぐのです。

つまり「徳政令」です。

徳政令はいかがでしょうか。

(吉田ハンチング@dcp)

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