韓国の自動車産業は弱体化を続けています。メディアに景気のいい記事が出ることがありますが、よく見てください。景気のいい話は「電気自動車」や「SUV」など車種に特化したり、ある期間だけの統計データに基づいたものだったりします。
それでも、「電気自動車」については快進撃を続けてきました。これは先行者としての利益を享受できたからです。
しかし、この先もそのまま進行できるかというと、そうではありません。日本を含む欧米の自動車メーカーが本腰を上げて電気自動車の開発・販売に取り組んでおり、韓国産の電気自動車がこれらメーカーに勝っていけるのかは大変にあやしいからです。
何より、アメリカ合衆国が施行した「インフレ削減法」(略称「IRA」)が韓国産電気自動車にとってはネックです。
この法律では、基本的に合衆国内で生産された電気自動車にしか補助金を出しません(正確には購入者が税額控除を受けられない)。
韓国産の電気自動車は価格戦闘力が他のメーカーの車種より劣ることになり、これまでのように売れなくなる可能性が高いのです。
しかし、すでに韓国産電気自動車が売れなくなってきた――というデータが出ています。
3カ月連続で電気自動車の販売台数が下落
『The Korea Economic Dairy』の、『オートモーティブニュース』を基にした記事から一部を以下に引用してみます。
(前略)
現代自動車·起亜自動車のEV販売台数は9月3533台で前年比28.0%増加したが、月別に見ると6月(7129台)以降、3か月連続で前月比減少した。車両用半導体の供給難で生産に支障を来たした影響だ。
IRA施行により、今年8月17日以降、EVを契約した消費者は、税額控除形態の電気自動車補助金(1台当たり7500ドル·約1070万ウォン)を受け取ることができない。
この時期以降に契約した車両が引き渡される今年末や来年初めから、現代自動車グループのEV販売台数が本格的に減少する可能性が高い。
サムスン証券のイム·ウンヨン研究員は「テスラを除く完成車メーカーの月別電気自動車販売台数はほぼ同じ水準」とし「供給能力によって順位が決定されるだけに、現代自動車グループが現地生産を急がなければならない」と述べた。
(後略)
07・08・09月と3カ月連続で対前月比で電気自動車の販売台数は減少を続けています。
記事では半導体の需給困難をその原因としています。
この結果は「インフレ削減法」施行前に契約された自動車の販売ですが、すでに減少傾向にあるというのです。「インフレ削減法」施行後の販売台数は価格面からいって大幅に減少すると見られますので、現段階での減少は良くない兆候といえます。
韓国は世界最大の自動車市場・中国ですでにシェアが1%台になっており、世界第3位の日本市場では全くといっていいほど売れません。ですので、世界第2位の合衆国市場でシェアを減らすわけにはいかないのです。
しかし、現状は良くない方向に向かっています。
合衆国市場で大幅なシェア低下がなった場合には、韓国自動車産業はさらに大きく弱体化すると推測できます。
(吉田ハンチング@dcp)