2022年10月10日、北朝鮮の機関紙『労働新聞』に以下のような記事が出ました。金正恩総書記が立ち会って砲兵部隊と空軍の演習を指導したという記事なのですが……以下に注目ポイントを和訳します。
(前略)
10月06日、朝鮮人民軍西部戦船長距離砲兵区分隊と西部地区空軍飛行隊の合同打撃訓練が行われた。合同打撃訓練は、敵軍事基地を模擬した島目標に対する空軍飛行隊の中距離空中大地上誘導爆弾および巡航ミサイル打撃と各種近接襲撃及び爆撃飛行任務を遂行したのに続き、戦線長距離砲兵区分隊が順次火力打撃を加える演習へ進行した。
訓練を通じて戦線砲兵たちと戦闘飛行士たちの作戦動員準備状態と戦闘実力が厳しく検閲され、結果、有事に備えた作戦準備態勢の正確性と高度な実戦能力がはっきりと実証された。
10月08日、朝鮮東海に再進入したアメリカ合衆国海軍航空母艦を含む連合軍海軍の海上連合機動訓練が敢行されている情勢背景下で、史上初めて150余機の各種戦闘機を同時出撃させた朝鮮人民軍空軍の大規模航空攻撃総合訓練が行われた。
(後略)⇒参照・引用元:『労働新聞』「敬愛する キム・ジョンウン同志 朝鮮人民軍戦線長距離砲兵区分隊と空軍飛行隊の火力打撃訓練を指導した」
※写真は全て『労働新聞』が公開したもの
驚きです。北朝鮮空軍が150余機の各種戦闘機を同時に出撃させて演習を行った、としています。
もし本当なら、これは『労働新聞』の報じるとおり史上初のことでしょう。
誠に申し訳ありませんが、よくお金と油があったものです。
文政権下で「北朝鮮に資金と油が流れていたのでは」という疑惑
そもそも、どこにそんな「お金と油」があったのか、です。
韓国からではないのかという疑惑が、いま韓国内からも提起されています。国連の対北制裁決議を尻目に、親北であった前文政権が、油の瀬取り、また暗号資産を利用して北朝鮮を秘かに支援していたのではないか、という疑惑です。
少なくとも「油の瀬取り」については、Money1でも先に以下の記事でご紹介したとおり、「韓国籍だったタンカー2隻が北朝鮮に売却された可能性がある」といった件もあるなど、極めてきな臭いのです。
また、暗号資産についても韓国市場が北朝鮮に利用されてきたのではないか、という疑惑が提起されています。韓東勳(ハン・ドンフン)法務部長官が06月に渡米したのは、合衆国から情報を開示され、取締を指示されたからではないのかという観測もあります。
ともあれ、前記のとおり北朝鮮の軍事演習は前代未聞の規模です。もちろん「本当に150余機も飛ばした」として、ですが。北朝鮮は本来このような大規模な軍事演習を避けたいはずなのです。
『三階書記室の暗号 北朝鮮外交秘録』に太永浩先生が正直に書いていらっしゃいますが、「お金と油がもったいない」からです。
できれば米韓軍事演習もやってほしくありません。対抗で何かしなくてはならなくなるからです。その意味で、文政権下の米韓演習縮小は、北朝鮮にとっては大変に助かるものだったのです。
(吉田ハンチング@dcp)