2022年12月15日、アメリカ合衆国財務省から「合衆国公債主要ホルダーの保有額」のデータが公表されました。韓国は非常に興味深いことになっています。
以下をご覧ください。
2022年10月:998億ドル
⇒データ出典:『アメリカ合衆国 財務省』「MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES」
韓国の合衆国公債保有額はとうとう1,000億ドルを割り込みました。前月比で55億ドルの減少です。
前月は史上最大規模の「127億ドル」を売却したのですが、それに続いての大口売却です。
ここまでの保有額の推移を見ると以下のようになります。
合衆国公債の保有額がついに1,000億ドルを割りましたが、これは韓国経済の安全性に影響します。すぐに換金できる流動性の高い資産が減ったことを意味しますので。
米国債も売却してウォン安阻止に投入した
『韓国銀行』が公表した、10月時点での外貨準備は以下のようになっていました。
2022年10月
外貨準備高:4,140億ドル(約60兆9,077億円)※
(前月比:-28億ドル)<<内訳>>
⇒Securities:3,624億ドル(約53兆3,163億円)
(証券類)
前月比:-171億ドル⇒Deposits:283億ドル(約3兆5,015億円)
(預金)
前月比:+141億ドル※SDRsなどは略。
※円換算は2022年11月03日「1ドル=147.12円」のレートで算出
以下は2022年10月時点までの韓国の外貨準備高の推移です。
10月はSecurities(証券類)を171億ドル減らしています。このうち55億ドルは合衆国公債だったことが分かったので、残りの116億ドルは謎の証券類を売却したことになります。
171億ドルも売却して得たはずの現金たるDeposits(預金)は141億ドルしか増えていません。
『韓国銀行』は以下のように説明していました。
ㅇ金融機関の外貨預収金および「その他の外貨資産のドル換算額」は増加*したが、外国為替市場の変動性緩和措置(国民年金との外国為替スワップによる一時的効果を含む)の影響などで減少
⇒参照・引用元:『韓国銀行』公式サイト「2022年10月末の為替保有額」
国民年金基金に貸したドルもありますが、ウォン安防衛のために使ったとはっきり書いています。ウォン安進行を止めるために、ドル売りウォン買いを行ってドルを溶かしたのです。
米国債の割合が減ってきた
面白いのは、外貨準備のSecurities(証券類)の中で合衆国公債の割合がどんどん下がっていることです。
以下をご覧ください。「Securities(証券類)に占める合衆国公債の割合」の推移(2022年)です。
韓国の金融当局は、これまで外貨準備のSecurities(証券類)のうち1/3は合衆国公債と決めていた節があるのですが、2022年はこれが崩れました。
最も頼りになるであろう合衆国公債の割合が減少しているので、とりもなおさず韓国の外貨準備の中のSecurities(証券類)はいざというときに本当に使えるのか、その怪しさが増してきたわけです。
(吉田ハンチング@dcp)