読者の皆さんもご存知のとおり、『韓国電力公社』(以下『韓国電力』)は危機的状況に陥っております。2022年は通期で営業赤字が30兆ウォンに達すると目されており、キャッシュフロー上で大変危ないことになっています。
お金がないので債券発行で資金調達を行い、事業を回してきたのですが、それも「債券発行の上限を拡大するプランが国会で否決」されたためもう限界です※。
※ただし再度同じプランを上程するつもりでさすがに次は通過すると見られています。なぜならこれで会社が回らなくなると韓国がブラックアウトする懸念があるので。
仕方がないので、韓国の企画財政部が緊急会議を開催。金融機関に協力を依頼しました。
これによって「8兆7,700億ウォン」短期借入金枠の拡大が成り、ほっと一息ついたのですが、『韓国電力』は端的にいって自転車操業状態です(『DART』の公示によれば2022年12月16日時点でまだ借りていません)。
仮にも先進国を自称する国の、電気インフラを一手に引き受ける企業が「飛びそう」なんて、まさに恥ずべき状況です。
企画財政部が自身で公表したとおり、このままでは『韓国電力』は2023年03月に流動性危機を迎えます。簡単にいえばデフォルト危機です。
しかし、なのです。実は『韓国電力』の株価は上昇しています。以下をご覧ください(チャートは『Investing.com』より引用:以下同/日足)。
株価は2022年11月03日、底値の「1万6,600ウォン」(ローソク足の実体線での底値:16日の始値)をつけ、ダブルボトムを脱して上昇。
直近12月26日には「終値:2万1,700ウォン」まで上げています。11月03日の始値から12月26日の終値まで、なんと「30.7%」の上昇です。
日足のまま時間軸をもっと引くと以下のようになります。
コロナ禍の最中2020年につけた天底から上昇し、その後ヨコヨコ、壮絶に下げて……あわや2020年の天底までいくか――と見えたのですが、そこまでは下げませんでした。で、上昇に転じたのです。
この流動性の危機の只中で、2022年03月にはデフォルト危機だと政府が述べている企業なのに、なぜ株価は上昇するのでしょうか。
やはり、背後にあるのは「親方太極旗の公企業である」という安心感だと推測されます。「政府が『韓国電力』を飛ばすことなんかあり得ない」という信頼感です。
『韓国電力』が飛ぶようなことがあればそれこそブラックアウトなので、確かに韓国政府はあらゆる手段を使って同社を支えるでしょう。しかし、これは公的企業の負債を増やすことであり、最後の最後は国民の税金で穴埋めをすることになるのです。
文在寅政権が残した無策のツケは非常に大きいといわなければなりません。
(柏ケミカル@dcp)