アメリカ合衆国から「スパイ企業」と名指しされているファーウェイ(華為技術)ですが、創業者である任正非CEOは、09月12日、ファーウェイの持つ5G技術について、「ノウハウをライセンス販売するのはどうか?」という提案を行いました。
このような提案を行う理由は「スパイ疑惑」を払拭したいという点にあると思われますが、そう簡単にファーウェイに対する疑惑は晴れそうにありません。
というのは、中国共産党政府が2017年06月27日に公布・同年06月28日に施行した『国家情報法』の内容が、まあなんというか凄まじいものだからです。
中国の国民、組織は諜報活動に参加せよ!
『国家情報法』は、その第一条にあるとおり「国の情報活動を強化、保障し、国の安全と利益を守ることを目的とする」法律です。それは国家として当然のことかもしれませんが、第七条では以下のように定めています。
第七条 任何组织和公民都应当依法支持、协助和配合国家情报工作,保守所知悉的国家情报工作秘密。
国家对支持、协助和配合国家情报工作的个人和组织给予保护。いかなる組織及び個人も、法律に従って国家の情報活動に協力し、国の情報活動の秘密を守らなければならない。国は、そのような国民、組織を保護する。
この第七条は、中国人の全て、中国のいかなる組織についても、中国の情報活動に協力すべきと義務付けているのです。
こんな法律が制定されている国の国民、企業などの法人がスパイだと思われないわけがありません。
一応、中国の名誉のために付記しますが、第八条には以下のようにあります。
第八条 国家情报工作应当依法进行,尊重和保障人权,维护个人和组织的合法权益。
国の情報活動は、法に基づいて行い、人権を尊重及び保障し、個人および組織の合法的権益を守るものでなければならない。
「国民・組織の権利を尊重して情報活動を行うよ」というわけです。
しかし、これは中国の国民と組織の権益を守るという規定であって、外国人の人権、外国の法人の権益を守るという条文ではありません。合衆国が国内の大学にできた「孔子学院」(このヘンな組織については別記事で扱います)を敵視したり、中国共産党の浸透工作に目を光らせたりするのは、故なきことではないでのす。
ともあれ、ファーウェイへの疑惑が任正非CEOの提案ですっきり晴れたりすることは「ない」でしょう。このような法律の下にある組織ですから、それは無理というものです。
⇒参照:『Money1』「中国物価上昇中! 『豚肉』前年比・約54%UP」
https://money1.jp/?p=10093
⇒参照:『Money1』「合衆国は中国との正面衝突コースに入った」
https://money1.jp/?p=8980
(柏ケミカル@dcp)