先に、中国の私募債のデフォルト件数についてご紹介した際に、例として中国の不動産大手(中国で3位の規模とされる)『恒大集団』についてご紹介しましたが、現在中国では多くのメディアで不動産業者の行き詰まり感が報道されるようになっています。
『恒大集団』は「年利11%」もの高率で社債を発行していますが、1,000億ドル(約10兆円)の債務を抱えており、これが完済できるかについて、いやそもそも企業が存続し続けられるのかについて、すでに疑問が呈されているのです。
債券発行額は約9.3兆円に及ぶ
不動産業者の行き詰まり感につては、数々の報告が挙がっています。主なものを拾ってみましょう。
・2019年07月下旬までに中国全土で不動産業者271社が破産宣告を受けた
・2019年08月中には不動産業者32社が破綻
・2019年中に破綻する不動産業者は600社に達すると指摘されている
中国には『WIND』という金融統計を扱う企業がありますが、同社のデータによれば、不動産業者が2019年上半期に発行した債券の合計は6,047億元(約9兆2,975億円/1元=15.38円で計算)に達しており、2017年からの累計額はなんと「1兆元」(15兆3,755億円)を超えているのです。
不動産業者の崩壊は避けられない
中国の不動産業者は、共産党政府の後押しもあって大量の資金を飲み込み、これで不動産開発を行ってきました。不動産価格の上昇があるうちはこれでいけるのですが、いったん下落に転じたらそこでおしまい。いわゆる「ミンスキー・モーメント」です。
いや、すでに不動産ニーズはすでに飽和状態といわれますので、いつ資産価格の下落が一斉に始まってもおかしくはありません。共産党政府はなんとか不動産価格を下げさせないように、例えば「値下げ販売は許さない」と下命するなど、努力はしていますが、それでカタストロフを避けられるとはとても考えられません。
カタストロフが来たらその影響は甚大なものになります。もし中国共産党政府が不良債権を全て買い取ることができたら収まりますが、それは不可能ですから解決策はないのです。
⇒参照:『Money1』「『ミンスキー・モーメント』とはナニか」
https://money1.jp/?p=2861
⇒参照:『Money1』「中国企業の無茶な資金調達のお話 これは無理ゲー!」
https://money1.jp/?p=10078
⇒参照:『Money1』「ご冗談でしょうミンスキーさん 中国の『破滅の瞬間』に注意!? すでに落ちてるのかもよ?」
https://money1.jp/?p=6490
(柏ケミカル@dcp)