「雇用の世襲」と聞くと、封建社会なのかと思われるかもしれませんが、韓国では労働組合の圧力によっておかしなことが行われています。
韓国には、労働組合によって「勤続年数の長い職員の子供をまず採用する」という協約を締結させられた企業があります。
おいしい企業の雇用は身内に継がせたいという意図が見え見えで、雇用機会の均等という観点からしてもロクなものではありません。
例えば、『起亜自動車』が労働組合と締結して団体協約には「在職中に疾病で死亡した組合員の直系家族1人、定年退職者および長期勤続者(25年以上)の子供を優先採用する」という条項があります。
「○○殿は父親の△△殿と同じく働き者じゃ」。いい話に聞こえるかもしれませんが、『起亜自動車』のような大企業の雇用が世襲になっている――などというのは、明らかにヘンです。
労働組合を締め上げる方針の尹錫悦(ユン・ソギョル)政権は、この「雇用世襲」を廃止させるよう動き出しています。
雇用労働部の安養支庁は、『全国民主労働組合総連盟 金属労組』(『起亜労働組合』が所属)、金属労組委員長、『起亜自動車』、同社代表などを労働組合法違反の疑いで立件しました※。
2022年08月には、雇用労働部は100人以上を雇用する事業者1,057の団体協約をチェックし、雇用世襲などの特別な採用条項を設けている60事業者に対して是正勧告を出しました。
2023年04月時点で54事業者が改正しましたが、『起亜自動車』は3カ月間の是正期間を過ぎても改正を行わなかったため、雇用労働部は「法によりて」強行手段を取りました。
雇用の世襲について法的な措置を行うのは韓国政府初のことです。
尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領は「法治」を連呼していますが、その面目躍如といったところでしょうか。これからも、韓国での特権団体であるとされる労働組合の力を削いでいく方向で動くでしょう。
※雇用労働部には特別司法警察権があります。これを行使して捜査を行えますし、犯罪の疑いがあると認めた場合には、「起訴するように」という意見付きで検察に送致することが可能です。
(吉田ハンチング@dcp)