韓国ほど「世界から先進国と認められたい」と切望している国はないのではないでしょうか。
「先進国と名乗りたければMSCIに選ばれてからだ」などとネットの掲示板で揶揄されることがありますが、これは韓国にとっても大きな課題となっています。
韓国は先進国市場と認められない!
何度もご紹介しているとおり、韓国市場はMSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)指数でEmerging Market(新興国市場)に分類されており、Developed Market(先進国市場)にはなっていません。
⇒参照・引用元:『MSCI』公式サイト
「韓国は先進国になったのだ」と高らかに宣言した文在寅前政権の末期には、企画財政部がタスクフォースを結成し、洪楠基(ホン・ナムギ)前副首相兼企画財政部長官が「ワシが討って出る」と『MSCI』とのボス交渉に臨んだのですが一蹴されました。
当たり前です。条件を満たして手順を踏まないと、先進国市場には分類されません。
『MSCI』が年に一度06月に会合を開くのですが、まずはそこで観察対象国に指定されなければなりません。その後に経過観察を経て、条件を満たしたという判断があって、初めて区分の変更が行われます。
ちなみに、韓国は李明博(イ・ミョンバク)大統領の時代、2008年06月に観察対象国になったのですが(3回なっています)、2014年06月に観察対象国から転落したのを最後に、以降は観察対象国にもなれていません。
ですので、まず06月の会合で観察対象国に再度ならなければなりません。
韓国が先進国市場に認定されたいのは、それによって「コリア・ディスカウント」が修正されると思いこんでいるからです。コリア・ディスカウントというのは、韓国企業の株式だからと価値が割り引いて考えられ投資されず、株価も上がらないという減少のことです。
よく韓国メディアや識者が引き合いに出すのは、もし『Apple(アップル)』が韓国企業だったら、株価は30~40%ほども低くなっているのでないだろうか――といった推計です。
MSCI指数で先進国市場と分類されれば、外国から資金が流れ込み、株価も上昇すると夢を見ているのです。(数字はいろいろ出ていますが、例えば)流れ込む資金は65兆ウォンと推計しています。
トラタヌ(取らぬ狸の皮算用)もいいところですが、韓国政府や識者、韓国メディアの皆さんは「自信過剰」ですので、目がドルマークになって期待しているのです。
そのため、尹錫悦(ユン・ソギョル)政権になってからも「先進国市場への編入」は大目標になっています。先にご紹介したとおり、「2023年06月に観察対象国になり、最短で2026年06月には先進国市場入りだー!」などという雄叫びが上がっていました。
ところが……。
「2026年に先進国だ」が門前払いで頓挫!
先進国市場入りどころか、2023年06月に観察対象国になることも頓挫の見込みです。
韓国メディア『ソウル経済』に嘆き節の記事が出ていますので、一部を以下に引用してみます。
(前略)
10日、金融投資業界によると、来月予定されているMSCIの年次市場分類検討で、先進国指数観察対象国(watch list)再編入が事実上、霧散した。今年、検討対象国に名を連ね、来年06月に先進国指数に昇格し、2025年06月から本格的に先進国指数に組み込まれることを期待していたが、1次関門でブレーキがかかったのだ。
取引所と『MSCI』間の指数使用を巡る葛藤が調整されなかったことが大きな影響を与えたという伝聞がある。
『MSCI』は、『韓国取引所』が算出するKospi200指数などを活用して金融商品を開発することができるが、指数関連の源泉財産権は取引所にある。
『MSCI』は、指数活用商品の上場事前承認をなくすよう求めたが、取引所は拒否した。また、指数使用料を最低水準で支払うという立場を曲げず、取引所も値引き販売はできないという方針を貫いた。
特に、取引所は『MSCI』が開発する新しい金融商品が海外株式市場で取り引きされると、国内株式市場で関連商品の取り引きが縮小し、収益が減少することを懸念した。
ある業界関係者は「『FTSE』などさまざまな業者を通じて取引所がより高い手数料を受け取ることができる状況」とし「『MSCI』だけが低い手数料を提供する理由はない」と述べた。
(後略)
『MSCI』と『韓国取引所』の間での条件交渉がまとまらなかったのが原因としています。『FTSE』などは先に韓国市場を先進国市場としているのですが、残っているのは『MSCI』だけです。
『Dow Jones(ダウ・ジョーンズ)』:1999年~
『S&P』:2008年~
『FTSE』:2009年~
『MSCI』は、韓国の「先進国願望」という弱みにつけこんで、上から目線で条件を厳しくしたのかもしれません。
『ソウル経済』は「最大65兆ウォンの外国人資金が流入し、株価上昇の起爆剤になるという期待は水泡に帰した」と悔しそうに書いています。
そもそも「CFD取引はいかん」などと言い募り、「コロナ禍の大暴落」の際に行った「明日から空売りは全面禁止です」の措置もまだ完全に解除していないような国が、先進国市場と認められるわけがないのです。
自国市場が先進国と呼ばれるのにふさわしいかどうか、鏡を見た方がいいのではないでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)