2023年08月10日に朝鮮半島に上陸した台風6号(カーヌン・KHANUN)は朝鮮半島を南北に縦貫するコースを取って、韓国から北朝鮮に抜けました。
韓国内でもかなりの被害が出たのですが、北朝鮮も同様に水害に見舞われたと推測されます。
興味深いのは、水害の拡大を抑えるために、北朝鮮が韓国に断りなくダムにたまった水を放出したことです。
これに韓国側は怒っています。
放流したのは「黄江ダム」(황강댐)で、臨津江上流、北朝鮮領内にあります。南北朝鮮の軍事境界線の北方約40キロメートルの地点です。
場所を確認してみましょう。以下をご覧ください。
軍事境界線から40kmほどですので、本当に韓国からは指呼の間。そもそも韓国は首都が北朝鮮の火砲の射程圏にあるというヘンな国ですが、それにしても近すぎます。
黄江ダムは2002年に建設が開始され、2007年に完成しましたが、実は韓国との間に諍いが絶えません。
2009年09月06日には、予告なしに大量の水をダムから放流しました。その結果、下流の韓国では洪水となり、韓国民6人が犠牲者となりました。
これきっかけで、南北朝鮮は協議を行い、一応「ダム放流時には北朝鮮が事前通告する」と合意したのです。
ところが、以降も北朝鮮は通告なしで放流を実施。仕方がないので韓国側は自衛手段として、洪水調節池とダムの建設を行いました。
時代が下って文在寅政権下の2020年08月にも、北朝鮮は事前通告なしで放流を行いましたが、親北根性の文在寅大統領でしたので、政府は「鋭意注視する」とコメントしただけで何もしませんでした。
アンポンタンがTopだと、言うべき抗議もしないのです。
――で今回、台風6号の直撃に当たって、またしても北朝鮮は通告なしで放流を行いました。南朝鮮はすっかりなめられているのです。
北朝鮮の放流について現韓国政府がどう対応しているのか、韓国メディアの記事から一部をいかに引用します。
台風「カーヌン」は北朝鮮に移動したが、統一部は、北朝鮮が臨津江上流に位置する黄江ダムの水門を開放したのは「南北合意の精神に反する」と明らかにした。
(中略)
また、「政府は国境地域に被害が発生しないよう、共有河川の動向を綿密に注視している」と強調した。
北朝鮮が黄江ダムから水を放流すると、数時間内に京畿道漣川郡に到達する。
漣川郡にある郡南ダムは南側最北端のダムで、北朝鮮の無断放流による洪水被害を防ぐ役割を果たしているが、北朝鮮側の放流が事前連絡なしに行われ、対応できないことが多かった。
2009年、北朝鮮の予告なしの黄河ダム放流で6人が死亡すると、同年10月、北朝鮮は事前に放流を通知することを約束した。
しかし、北朝鮮は2010年以降、この約束を守っていない。
北朝鮮の行っていることは中国共産党にそっくりです。直近でも、北京を守るために堤防を切ったり、ダムの放流を行ったりとやりたい放題で国民の怒りを買っていますが、中国共産党は知らんふりです。
約束を守らないという点では北朝鮮と中国共産党は同じです。
(吉田ハンチング@dcp)