韓国は貿易のもうけで食べている国ですので、輸出が不調になると国が傾きます。
2022年の第1四半期が終わろうとしていますが、Money1で何度もご紹介しているとおり、韓国の貿易のもうけは減少傾向にあります。
先にご紹介したとおり、通関ベースでは貿易赤字もあったのですが、最も信頼のおける(と目される)国際収支統計上はまだ赤字にはなっていません(信頼のおける理由はウソをついたのがばれると『IMF』からこっぴどい目に遭わされるからです)。
しかしながら、それでも貿易のもうけを示す貿易収支、また経常収支は大きく減少しているのです。
この状況について韓国政府はどのように言っているのかといえば「輸出の拡大傾向は続いているので大丈夫」です。
しかし……2022年03月25日、『韓国貿易協会』(KITA)の国際貿易通常研究院が非常に興味深いリポートを出しています。ちなみに『KITA』のデータベースは、例えば「フッ化水素」がどの国からどのくらい輸入されているのか、などを調べるときにお世話になります。
それはともかく、2022年第2四半期の輸出について、韓国企業は「見通しは暗い」としているのです。
『KITA』が公表した「2022年第2四半期輸出産業景気展望調査(EBSI)」は、韓国内1,287の輸出企業を対象に、「第2四半期の輸出産業の景気展望」を聞いたものです。
その結果、「輸出産業景気展望指数(EBSI)」は、2020年の第2四半期に記録した「79.0」以降、つまり8四半期ぶりに100を切り、「96.1」となりました。
この「EBSI」は、100で中立。100超で景気は良くなる、100未満で景気は悪くなると判断している――と見ます。
つまり、韓国内の輸出企業は景気が底の底だった2020年第2四半期以来、2年ぶりに景気が悪くなると見ているのです。
以下にリポートから注目部分を引用します。
↑「EBSI」の推移。コロナ禍の底から回復してきたものが2022年第2四半期に急降下した。
↑特に「繊維・衣服および革製品」「石油製品」「無線通信機(要はスマホ)および部品」の見通しが悪い。⇒参照・データ引用元:『KITA』公式サイト「2022年第2四半期輸出産業景気展望調査(EBSI)」
「自動車・自動車部品」は「127.0」と見通しは良いようですが、完成自動車の方は「半導体不足」「ハーネス不足」などに悩まされています。また、「船舶」も「148.8」と良い数字になってはいるものの、いくら受注しても会社の業績自体は赤字基調。
このように、輸出企業の見通しは8四半期ぶりに悪くなり、そのため韓国経済については決して楽観視できません。
(吉田ハンチング@dcp)