『韓国レゴランド』のABCP(Asset-Backed Commercial Paper:資産担保コマーシャルペーパー)不渡り、『興国生命』のドル建て永久債のコールスキップ宣言によって、韓国の債権市場で金利が急騰し、韓国企業の資金調達が困難になっています。
やってしまった後であまりの影響の大きさに、『韓国レゴランド』のABCPの保証を蹴った江原道、また『興国生命』は「前言撤回。ちゃんと償還します」としたのですが、そんなもの後の祭りです。
後悔先に立たずとはまさにこのこと。
痛恨の一撃が2発連続できたようなもので、被害は甚大。いまだ短期資金調達市場、債権市場の金利は上昇し、韓国企業を締め上げております。
直近2週間のCP(Commercial Paperの略:約束手形の一種)の金利の推移を見てみましょう。以下です(信用格付けA1等級で91日物CP)。
上掲のとおり、CPの金利は24日には「5.48%」に達しました。14日からだけでも「30bp=0.3%」上昇しています。
24日の上昇が急なのは『韓国銀行』が基準金利を上げたからです。
Money1でもご紹介しましたが、つい最近まで「4%を突破しそうだ」なんといっていたのにこの有り様です。
さらに懸念されているのは、この金利上昇がさらに不動産市場を冷え込ませるのではないかと考えることです。
韓国の不動産開発はPF(プロジェクトファイナンス)で巨額資金を集めるのが常套手段でした。これには証券会社が大きな役割を果たしてきたのです。
開発プロジェクトごとにSPC(特殊目的会社)を作って、SPCがABCPを発行。これによって資金を集めるわけです。
このスキームがいかに巨額を集めたのかを示すデータがあります。
銀行が提供するPFローン:+6兆9000億ウォン
証券会社・非銀行圏のPF:+70兆1,000億ウォン
銀行が提供する貸し出しは6.9兆ウォン増えただけなのに、証券会社・非銀行圏は70.1兆ウォンも増加しています。
SPC ⇒ ABCP発行のスキームが不動産開発の資金源になっていたことの証明です。これが今、市場の信頼を失って金利急騰、凍結状態になっているのです。
そのまま不動作開発に資金が回らなくなることを意味しますので、当然不動産セクターは冷え込まざるを得ません。建築会社の連鎖倒産を生むのではないかという心配も浮上しています。
韓国金融当局としては、なんとしても信用不安を食い止めないといけません。で、結論は毎度おなじみの「当局が実弾を突っ込まないとダメなのでは」です。
(吉田ハンチング@dcp)