2023年05月18日、韓国メディア『朝鮮日報』が興味深い記事を出しています。
元ネタの報道はそもそも『VOA』(ボイス・オブ・アメリカ)なのですが、北朝鮮が打ち上げた人工衛星は地上へのデータ送信を一切行っていない「ただの缶詰」だというのです。
記事の一部を以下に引用してみますと……。
(前略)
18日、北アメリカ航空宇宙防衛司令部(NORAD)の情報を基に国際衛星情報を紹介するウェブサイトによると、2016年に北朝鮮が打ち上げた衛星「光明星4号」は高度325㎞付近で地球を回っている。北朝鮮が2012年に打ち上げた「光明星3号 2号機」も高度370㎞で軌道を巡回している。
二つの衛星は約92~93分周期で地球を一周している。
通常の衛星は軌道を回りながらデータを送信するなど、地上との交信が行われなければならない。
しかし、北朝鮮の衛星はこのような信号伝送が不可能だという分析が出ている。
北朝鮮の衛星が北朝鮮の地上基地に信号を送ったらソウルでも探知可能だが、これまで信号は捕捉されたことがないという。
ドイツのミサイル専門家であるマルクス・シラー博士は、アメリカ合衆国のメディアである『ボイス・オブ・アメリカ』(VOA)に「これらの衛星は打ち上げに成功したが、初日から揺れ動き、これまで何の信号も送っていない」とし、「北朝鮮の衛星2つを『死んだ衛星』と把握している」と明らかにした。
(後略)
北朝鮮の人工衛星は不思議なことに地上へのセンターにデータ送信をこれまで一切行っておらず、「死んだ衛星」と認識されているというのです。
ここから、『朝鮮日報』では「ただの缶詰」だとしています。
「初日から揺れ動き……」というのは、博士の説明によると「衛星が揺れるなど非正常的に動いたり、衛星の明るさが随時変化すれば、これは『不安定』を意味する」とのこと。
ただの缶を打ち上げて、それがまだ地球を周回しているというのです。北朝鮮は、邪魔っけで余計なことをしています。
興味深いのは、北の金ちゃんファミリー三代目こと金正恩総書記が、2023年05月17日、ついに完成したという「軍事偵察衛星1号機」を視察していることです。
↑北朝鮮が公開した軍事衛星視察の写真。手前で見切れているのが衛星のようです。気の毒なことに娘さんもパパに付き合わされています
面白いのは、『朝鮮日報』によるこの軍事衛星なるものに対するツッコミで、以下のように書いています。
(前略)
前日、北朝鮮が公開した写真によると、軍事偵察衛星1号機は長さ1m未満、重量は500kg台の小型衛星と推定され、軍事偵察衛星の機能を果たすには不足があると予想される。通常、少なくとも撮影解像度が1m(縦横1mの物体を点として認識するレベル)なければ軍事偵察衛星の機能が期待できないが、写真の衛星は4~6mクラスの商用衛星レベルと評価される。
統一研究院のホン・ミン北朝鮮研究室長は、「北朝鮮は2012年に9番目に宇宙クラブに入った」としながらも、「衛星体が300トン未満で、地上との交信ができないため、実質的に宇宙クラブに入った国家と見るのは難しい」と述べた。
(後略)
軍事衛星の心配よりも、「宇宙クラブ」に北朝鮮が入ったかどうかを気にしているかのような書きようになっています。邪推かもしれませんが、韓国の方が上で技術力があるといいたいのではないでしょうか。
邪推はともかく、北朝鮮はまた「ただの缶詰」を打ち上げるかもしれません。
(吉田ハンチング@dcp)