中国はG7広島サミット以降、日本に対しての圧力を強めています。G7が明確に対中国規制を強化することで合意したことが背景にあります。
中国が御用新聞も含めて毎日非難を続けていますが、これは相当な危機感の現れ。半導体関連製造装置の輸出管理強化の発動タイミングが07月に迫っており、なんとか日本に翻意させたいのです。
なぜなら、日本の輸出管理強化は中国の半導体産業を壊滅させるかも――という懸念があるからです。
そこまでか?と思われるかもしれませんが、日本企業は半導体製造に必須の素材、装備、装置を押えており、これが使えなくなると中国は干上がってしまうのです。
例えば『ラジオ・フリーアジア』は以下のように報じています。
『Financial Times(フィナンシャル・タイムズ)』は、日本で実施される見込みのルールを検討した結果、中国の半導体業界は、日本の輸出制限案の方が、中国の半導体製造能力を制限するという点で、中国にとってダメージが大きいと判断したと明らかにした。
匿名を希望した中国のチップメーカー幹部は「日本の輸出規制は、合衆国による昨年の制裁よりも中国にとって迷惑だ」と認めている。
(中略)
「日本のリソグラフィー装置メーカー2社は、DUV市場において『ASML』社よりも高い市場シェアを持っているため、日本の有力企業が全て輸出制限を行えば、先進的な製造プロセスから撤退するということではなく、中国の半導体製造全体を消滅させる可能性が高い」 と台湾『東呉大学』経営学部の林修民氏は本誌に語った。
(中略)
林修民氏は、リソグラフィー装置に加えて、フッ酸(半導体のエッチングプロセスに使用される)やフォトレジスト(フォトリソグラフィー装置の露光に使用される)などの重要な半導体材料の分野でも日本企業の市場シェアは80%から90%にも達していると指摘した。
日本は2019年にフォトレジストなど3つの原材料について韓国への輸出規制を発動したが、「EUVがなければ高度な製造プロセスができないし、フォトレジストが販売されなければ、全ての製造プロセスが行えない」と述べた。
日本のフォトレジストメーカー『JSR』のエグゼクティブディレクター、Eric Johnson(エリック・ジョンソン)氏は、『Financial Times』の取材に対し、「極端紫外線(EUV)マイクロシャドウの技術を完璧に実践するのは容易ではなく、中国が正確な化学式を入手したとしても、製造時に高純度を実現できるかどうかを検討しなければならず、正確で再現性の高いものにするのは非常に困難である」と語った。
(中略)
中国は世界最大のフォトレジスト消費市場だが、国内生産率は10%未満で海外依存度が高い。
世界的な半導体の「逆グローバル化」の中で、中国メーカーは、起こりうる供給途絶のリスクに対処するため、半導体用フォトレジストの現地化を加速している。
北京の『清華大学』集積回路学院の魏少军教授は、「中国の半導体産業は増加傾向にあるが、年間300億ドル近くが投資され、そのうち100億ドル以上が日本の機器や材料の購入に費やされている。これは誰もが簡単に無視できる数字ではない」と述べている。
(後略)⇒参照・引用元:『自由亚洲电台』「日本半导体限令剑指中国 杀伤力更甚美国?」
このように、海外メディアの方が「日本の輸出管理強化」の中国への影響を甚大なものになると報じています。
「日本の23品目の輸出制限は45nmプロセスの半導体にも及ぶ可能性があり、合衆国の制限措置よりも広範囲に影響を与え、厳しいものだ」
という声も上がっています。
2023年05月23日、中国商務部報道官は、日本が半導体製造装置の輸出管理措置を導入したことに対し、「これは輸出管理措置の乱用であり、自由貿易と国際経済貿易ルールの重大な逸脱であり、中国はこれに断固反対している」と述べています。
つまり「効いている」ということです。
日本の企業人を難癖をつけてさらうような国が相手です。このまま進むのが望ましいでしょう。
(吉田ハンチング@dcp)