中国の商務部が海外からの投資を呼びことに躍起となっています。理由は簡単で経済状況が芳しくないからです。
G7広島サミットで提唱されたような「de-risking」(デリスキング)が推進され、脱中国が進むと「資金流入」が小さくなってさらに危なくなるから躍起なのです。
中国共産党のメディアはこぞって「中国に投資するチャンス」と喧伝しているのですが、この猫撫で声に騙されて投資が集まるのか――です。
アメリカ合衆国、日本は脱中国の動きをやめそうにありませんので、狙ってるのは欧州です。
EUは欧州諸国の集合体ですから各個撃破もしやすいと考えているのかもしれません。例えば中国共産党の英語版御用新聞『Global Times』は以下のようなタイトルの記事を出しています。
「中国は欧州経済にとって『リスクではなくチャンス』」
何を言うやらというタイトルですが、以下に記事の一部を引用してみます。
中国と欧州の関係は、「リスク回避」という不一致の中で岐路に立たされているが、中国経済のパンデミック後の復活により、二国間の経済関係は今年さらに強化される見込みである、と専門家は述べた。
EUは、中国に対して厳しい態度で臨むアメリカ合衆国と距離を置き、より現実的な協力と相互利益に目を向けるべきであると、専門家は述べた。
(中略)
これに対し、中国外交部の毛寧報道官は02日、「脱リスク」は流行語になっていると指摘した。それを議論するには「まずリスクが何であるかを理解する必要がある」と述べた。
彼女は、中国はハイレベルな開放を断固として推進し、世界中の企業に市場志向、法制化、国際化されたビジネス環境を提供すると述べた。
相互尊重、利益、ウィンウィンの結果を堅持し、他国と経済、貿易、科学技術投資協力を行っている。中国は国際的な公正と正義を堅持し、対話を通じて違いを解決することを主張する、とも。
「このような中国はリスクではなく、チャンスである」と指摘したのだ。
一方、世界が直面している真のリスクは、陣営間の対立と新たな冷戦であると指摘した。
(中略)
中国とEUの経済関係は、両国の関係の健全な発展を牽引し続けるべきである、とオブザーバーは述べている。
地政学的な要因による多少の困難はあっても、中国と欧州の協力の基調は変わらないだろう、と彼らは指摘しています。
(中略)
2022年、中国とEUの貿易と経済協力はダイナミックな状態を維持した。税関のデータによると、二国間の商品貿易総額は5兆6,000億元(約8,220億ドル)に達し、前年比5.6%増加した。
⇒参照・引用元:『Global Times』「China ‘isn’t a risk but opportunity’ for European economies: ministry」
毛寧報道官の言葉を引いていますが、「それは、あんたの言い分であって自由主義陣営国はそうは見ていないぞ」です。
「ハイレベルな開放を断固として推進し、世界中の企業に市場志向、法制化、国際化されたビジネス環境を提供する」という国が実際に行っているのは、(例えば複合機の)「技術をよこせ」であり、中国共産党による「資本移動の制限」であり、恣意的な「企業人の拘束監禁」などです。
中国共産党が法の上にいる国の法制度など誰が信用できるでしょうか。
「中国は欧州にとってチャンスだよ」といっているのですが、本当にそうでしょうか?
御用新聞が「EUと中国の関係は大丈夫だ」という記事を出さなければならないほど中国は焦っているのです。
(吉田ハンチング@dcp)