アメリカ合衆国トランプ政権は、かねてよりWTO(World Trade Organizationの略:世界貿易機関)への不満を表明してきました。拒否権がないこと、裁定が遅いこと、さらには合衆国の主張が通らないこと(笑)など、合衆国の不満は挙げればきりがないほどです。
先にご紹介した、中国をはじめ世界的にもお金持ちな国が自身を「開発途上国」(発展途上国)と言い張り、不当な優遇措置を受けている、という不満もその一つ。
韓国は白旗を掲げ、中国は居直った
07月にトランプ大統領は「90日以内に解消されなければ、合衆国はこれらの国々に独自の措置を取る」と宣言したのですが、その期限は先週切れました。
先にご紹介したとおり、トランプ大統領のメモランダムに挙げられた国は、中国、ブルネイ、香港、クエート、マカオ、カタール、シンガポール、UAE、メキシコ、韓国、トルコです。
このうち韓国は、合衆国の報復措置を恐れ先週のうちに白旗を掲げました。自ら「開発途上国の地位から下りる」と宣言したのです。しかし、中国は「開発途上国かどうかは合衆国が決めることではない」と居直っています。WTOでは議決が基本全会一致ですので、中国が反対すれば、合衆国の意見は通らないことを見越しているのです(合衆国はこのような点でもWTOを改革したいのです)。
しかし、合衆国は独自の措置を取ると宣言しています。UTSR(United States Trade Representativeの略:合衆国通商代表部)はトランプ大統領の意を受けて何らかの手を打たなければなりません。
たとえ合衆国と中国が貿易協議で第一段階の合意に達しようとも、このように火種は尽きないのです。むしろ、この新冷戦はいくところまでいくという覚悟をすべきなのではないでしょうか?
(柏ケミカル@dcp)
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