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『韓国銀行』が「取り付け騒動」への準備を始めた。第2金融圏が危ない

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2023年07月27日、『韓国銀行』が「韓国銀行ローン制度改編方向」というプレスリリースを出しました。

これは『セマウル金庫』や『貯蓄銀行』など、延滞率が上昇している第2金融圏・金融機関に対する手当てを今のうちにしておこうというものと見られます。

『韓国銀行』が取り付け騒動に対するアップを始めました。

『韓国銀行』の李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁は、「もし韓国でアメリカ合衆国『SVB(シリコンバレー銀行)』のような取り付け騒動が置きたら、合衆国の100倍早く預金が引き出されるだろう」と述べたことがあります。

実際、Money1でもご紹介したとおり、『セマウル銀行』では預金引き出しに多くの人が詰めかけるという事態となりました。金融当局が素早く火消しに動き大事にならずに済みましたが、火種はまだくすぶっています。

今回公表された「韓国銀行ローン制度改編方向」の「Q&A」シートを見ると、「1.今回の韓国銀行融資制度改編の趣旨」については以下のように書かれています。

1.今回の韓国銀行融資制度改編の趣旨

最近のアメリカ合衆国のSVB事態などを契機に、大規模な預金引き出しが広がる可能性に備え、中央銀行レベルの金融安定を目的とした政策手段の整備および拡充の必要性が高まっています。

現行の韓国銀行融資制度では、大規模な預金引き出し事態の際の流動性確保について、一時的な困難を経験する預金取り扱い機関に対する資金支援に次のような限界があります。

『韓国銀行』の融資関連適格担保証券の範囲が、主要国の中央銀行に比べ狭く設定され、運用されている。

流動性確保が必要な状況で、十分な資金支援が迅速に行われない可能性がある。

非銀行預金取り扱い機関に対しては、制度的要因などにより、流動性支援に相当の制約も存在する。

これに伴い、韓国銀行は次のような趣旨で現行の融資制度を改編するとともに、今後の計画を発表しました。

o既存の常時融資制度(Standing Lending Facility)である資金調整融資の適用金利、適格担保範囲、最大満期などを調整することで、銀行に対するスティグマ効果(Stigma effect)を最小化し、中央銀行融資制度へのアクセス性をさらに高めることを企図します。

o特に、『韓国銀行』の全ての融資に対する適格担保を公共機関債、銀行債、地方債、優良社債まで増やし、融資可能資源を大幅に拡大しました。

oこれと共に、今後、金融システム内の流動性リスクを大幅に緩和できるよう、主要国と同様に、融資適格担保に預金取り扱い機関の貸付債権を追加する方策を推進する計画です。

o非銀行預金取扱機関に資金支援が必要な場合、韓銀法第80条に基づき、流動性支援の有無を迅速に決定することにしました。
(後略)

⇒参照・引用元:『韓国銀行』公式サイト「韓国銀行ローン制度改編方向」

預金取り扱い機関で取り付け騒動が起こったときには、預金者が自分のお金を引き出そうと殺到し、その金融機関にお金がなくなって(流動性が枯渇し)、危機に陥ります。

預金取り扱い機関で流動性危機が発生すると、経済に大ダメージがあり、へたをすると連鎖的な危機的状況になるかもしれません。このようなときには中央銀行の出番ですが、現在の制度では十分に危機に対応できないとしています。

危機が発生した預金取り扱い機関にお金を突っ込む際には、その機関が持つ「債券」などを担保にするのですが、担保として認める債券の基準が厳しくて、十分な流動性を供給できない――という認識なのです。

そのため、担保として認める「的確債券」を「公共機関債、銀行債、地方債、優良社債まで増やし」と述べているのです。

スティグマ効果(Stigma effect)というのは、平たく言うと「もうアカンと認識されること」です。

例えば延滞率が異様に高まっていることが広く知れ渡り、『セマウル金庫』がもうアカンと認識されたら、その効果(刻印が押された効果:スティグマ効果)は絶大なものになります。

預金者が殺到するでしょうし、「次はあの銀行ではないか」「あっちの信用金庫も危ない」といった疑心暗鬼に駆られ、多くの人があちこちの預金取り扱い機関から預金を引き出し兼ねません。

このようなスティグマ効果を抑え込むことが中央銀行『韓国銀行』の役割は重要なのです。

実際に大規模取り付け騒動が予測されるわけでありませんが、韓国の第2金融圏が危なくなっているのは確かです。

『韓国銀行』がこのような声明を出してウォーミングアップを始めたというだけでも抑止力になります。李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁はなかなかやります。さすが元『IMF』太平洋局長といったところでしょうか。

(吉田ハンチング@dcp)

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