2024年04月10日に投開票となる国会議員の総選挙。これに向けて韓国はすっかり国内政治(闘争)の季節となっています。
元大統領の力も借りたい!
補選で負けたショックから立ち直れない政府与党『国民の力』では、「とにかく保守寄り勢力」の力を結集せねば――ということで、元大統領のお二方、朴槿恵(パク・クネ)さんと李明博(イ・ミョンバク)さんがメディアに登場するようになってきました。
まず、朴槿恵(パク・クネ)さんですが、2023年10月26日に開催された朴正熙(パク・チョンヒ)元大統領の追悼式において、参加した尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領と握手をかわしました。
↑朴元大統領の「逝去44周忌追悼式」。尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領が参列。
尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領は、朴正煕(パク・チョンヒ)ワナビーですので、参加するのは当然。
朴槿恵(パク・クネ)さんも恩赦の後、復権しつつありますので、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領としては「お嬢様応援団」を味方につけたいところです。
一方、同じく李明博(イ・ミョンバク)元大統領の方は、以下のようにウオーキングイベントに出席。ずいぶん体が弱ったご様子ですが、自身の業績である運河事業をこれからも守ってほしいとアピールしました。
↑李明博(イ・ミョンバク)元大統領の様子を伝える2023年10月25日の報道/YouTube『YTN』公式チャンネル
文在寅の好き勝手な放言!
野党『共に民主党』の方ですが、大統領経験者といえば、盧武鉉(ノ・ムヒョン)さんも金大中(キム・デジュン)さんも亡くなっていますので――断食から抜け出した、大統領なり損ないの李在明(イ・ジェミョン)さん、前大統領の文在寅さんです。
李在明(イ・ジェミョン)さんの方は断食明けなのに意気軒昂。国会の監査の方で「北朝鮮を締め付けるのはいかがなものか」と発言するなど、親北朝鮮の姿勢を全開にしています。
文在寅前大統領の方はというと、また自身の業績のアピールを始めました。「尹政権は俺の政権の頃に比べて駄目だ」という内容です。
2023年10月27日、文在寅さんは自身のFacebookに以下のように書いています。
日米韓の三国同盟は経済的な面で私たちに得なのか、それとも損なのか?
『日本がやってくる』は、『ソウル大学』国際大学院長であり、最高の日本経済専門家であるキム・ヒョンチョル教授が日韓両国の経済を歴史的に比較しながら、日米韓三角同盟の経済的得失を分析した本です。
今年の韓国経済は1%台の成長率にとどまり、日本の経済成長率に遅れをとることが予想されます。
1%台の成長率は危機時の例外を除いて史上初であり、日本より経済成長率が劣るのもIMF危機時以外では初めての衝撃的なことです。
前政権で韓国の1人当たり実質国民所得が日本を追い越し、名目国民所得も追い越しを控えていましたが、格差がさらに広がることになりました。
さらに懸念されるのは、韓国経済の潜在成長率が史上初めて1%台に落ち、今年の実質経済成長率がそれよりも低いという見通しです。
先進国の一般的な経済成長率が2%台なのに、私たちの成長率がそれよりさらに下がって1%台に固着するのではないかという懸念です。
ひと言で言えば、今年の日韓両国の経済状況は「日本の台頭、韓国経済の危機」と言えます。
この本は、経済の足かせとなっているものの原因は、韓国の政治と外交戦略であることを明らかにしています。
文章が簡単で、大統領経済補佐官の経験が面白さを増し、経済書ですが、すらすらと読める本です。
⇒参照・引用元:Facebook『文在寅』公式アカウント
タイトルが凄くて「日米韓の三国同盟は経済的な面で私たちに得なのか、それとも損なのか?」です。
尹錫悦(ユン・ソギョル)政権が日米に傾斜していることに対して、全面的に疑問を呈しています。
「日本について書いた本」をダシにしていますが、文在寅さんが最も言いたいのは「前政権で韓国の1人当たり実質国民所得が日本を追い越し」の部分です。
オレが大統領のときは「日本を追い越した」のに、尹政権になったらこの体たらくだ――としたいのです。
「私たちの成長率がそれよりさらに下がって1%台に固着するのではないか」の部分ですが、なぜかこの数日、潜在成長率についての話が注目されています。
これは実は旧聞に属するような話で、Money1でも先にご紹介しました。『OECD』(Organisation for Economic Co-operation and Developmentの略:経済協力開発機構)による韓国に対する、潜在成長率の予測です。
潜在成長率というのは、これまたずいぶん前にご紹介しましたが、「労働力・資本・生産性を活用して、インフレ(物価上昇)を誘発することなく、最大限に達成できる経済成長率の見通し」のことをいいます。
『OECD』は、2023年06月時点で、
2023年:1.9%
2024年:1.7%
としたのですが、韓国の潜在成長率が下落し続けることは、例えば韓国のシンクタンク『韓国経済研究院』(略称「KDI」)なども以前に予測しており、今、ことさらに言う話でもありません。
邪推するなら、尹政権を批判したいがために引っ張り出してきたのではないでしょうか。
「日本の台頭、韓国経済の危機」といった言い回しにも、反日感情を次期総選挙に利用したいという思惑が透けて見えます。
それにしても、自分が大統領のときに韓国経済を傾けるために種を数々まいておいて、それにはほっかむりを決め込んでいるのですから、左派・進歩系の人というのはいい加減なものです。
(吉田ハンチング@dcp)