保守寄りの韓国メディア『ペンアンドマイク』に興味深い記事が出ました。
韓国半導体最大手『サムスン電子』が、京畿道平沢に建設中の半導体工場の建設を急きょ中止させたというのです。
もともと『サムスン電子』は、平沢キャンパス(85万5,000坪の敷地)に6つの半導体工場を建て、世界最大規模の半導体ハブにする――という計画を持っていました。
第1~3工場には、最先端のDRAM、NANDフラッシュのラインが入り、第4、5工場は工事が進行中。 第5工場は2023年02月から建設に入ったところでした。
『ペンアンドマイク』によると、2024年01月30日、『サムスン物産』(建設ゼネコンです)が協力会社に「現場工事と関連して、発注先の事情で工事進行が中断される予定」「工場造りと敷地賃貸など一切のすべての作業を本日時点で中止してほしい」という文書を送付した――とのこと。
発注先というのは『サムスン電子』のことでしょうが、それにしても「全ての作業を本日時点で中止」というのは、あまりにも急で、穏やかではありません。
李在鎔(イ・ジェヨン)総帥のお考えが変わったのでしょうか、あるいは何か特別なことがあったのか……。
『ペンアンドマイク』紙は、『サムスン電子』の在庫調整と関係しているのではないか、と推測しています。
『サムスン電子』は世界的な半導体需要が低下したときも頑なに減産を行わず、それが業績を悪化させました。世界的なIT需要低迷が長期化すると明確になったとき、『サムスン電子』も減産に入り、在庫調整がかなり進んだ――といわれています。
また、2023年の『サムスン電子』の業績を公表したカファレンスの際には「2024年上半期に在庫が適正水準に戻る」と話していました。逆にいえば、『サムスン電子』はまだ在庫調整が終わっていない――わけです。
減産(在庫調整)のために工場建設を一時ストップするというのは「ありそうなこと」ですが、果たして真意は那辺にあるでしょうか。
工場建設を止めると「世界最大規模の半導体ハブにする」という構想が足踏みすることになりますが。
(吉田ハンチング@dcp)