おススメ記事

「21世紀に輝く経済・文化大国 韓国」

広告

韓国で『建国戦争』という映画がヒットしています。

『建国戦争』のヒットで李承晩に注目集まる

日本の敗戦によって棚ぼたで独立国になった韓国。その初代大統領・李承晩(イ・スンマン)さんがどのような人物であったのかに焦点を当てた「ドキュメンタリー映画」――とされています。

終身大統領になろうと画策し、国民からの反対によって引きずり降ろされハワイに逃亡。そのまま客死したので、結果からいえば「市民運動」あるいは「民主主義」の敵と位置づけられてきた人です。

↑『建国戦争』鑑賞後、「自分が出てた」と驚きの感想を述べる韓東勳(ハン・ドンフン)さん(月亭方正似)

この『建国戦争』では、李承晩(イ・スンマン)さんについて「あらためて知った」という人が増えており、(歪曲はいけませんが)これまでの評価が覆る可能性もあります。

映画で評価が反転するというのは、いかにも韓国らしい話ですが、総選挙(2024年04月10日投開票)を控えての動きですので、これは注目に値します。

韓国の保守って何?

李承晩(イ・スンマン)さんをひと言でいえば「反共大統領」(かつ反日大統領)でした。その後の朴正煕(パク・チョンヒ)大統領もそうでした。

これらの反共大統領を倒して民主主義政権を建てたというのが、左派・進歩系運動圏の主張です。

李承晩(イ・スンマン)さん、朴正煕(パク・チョンヒ)さん共に「独裁政権」(しかも長い)でしたが、大統領側からすれば「国はまだ貧しいし、私が修正し、執権せねば国がたちゆかない」という気持ちだったでしょう(それが倫理的に正しいかどうかはともかく)。

李承晩(イ・スンマン)さん、朴正煕(パク・チョンヒ)さんという反共大統領をあらためて見直すというのは、「建国以来、韓国の拠ってたつものはいったい何だったのか」を問うことに他ならないでしょう。

もっといえば、「韓国の保守って何?」という問いに対する答えを探しているともいえます。

先に、「韓国には右翼はいないよ」という件についてご紹介しましたが、では「右翼はいないとして、では韓国には保守はあるのか?」です。

そもそも「保守主義」とは、

保守または保守主義とは、従来からの伝統・習慣・制度・考え方を維持し、社会的もしくは政治的な改革・革命・革新に反対する思想のこと。

過激な傾向を拒否し、穏健な立場を奉ずる人物を保守主義者、勢力を保守勢力、政党を保守政党と呼ぶ。

と説明されます。この定義に拠るとして、では韓国の「従来からの伝統・習慣・制度・考え方を維持する」勢力とはなんだろう?――です。

韓国の場合、「従来からの伝統・習慣・制度・考え方」が何を指しているのか分かりません。

なぜなら、朝鮮半島に産業革命、近代をもたらしたのは、日本による併合です。朝鮮の皆さんからすれば「植民地化」となりますが、世界でも他に類を見ないことに、「植民地化」によって近代国家になるための要素の何もかもが、日本によって移植されたのです。

しかし、朝鮮(北朝鮮・南朝鮮を問わず)では、日本併合時代を否定しています。

そのため、韓国が拠ってたつべき民主主義、近代法などは「日本由来」ですから、全て否定せざるを得なくなっています。まして「韓国(北朝鮮も)の独立」は、日本の敗戦によって棚ぼたでもたらされました。

日本併合時代を否定するとして、朝鮮の伝統・習慣・制度・考え方というと――では「李氏朝鮮」に求めるのでしょうか?

つまり、韓国の「保守」というのは、なんだかよく分からないものなのです。

韓国で保守メディアといわれるのは、『朝鮮日報』『中央日報』『東亜日報』などですが、「保守っぽい?」であって、『国民の力』も「保守」といわれますが、同じく「保守寄り?」というのが本当でしょう。

あくまでも「反共産主義、自由民主主義を標榜し、それらに拠ってたつ」のが「韓国の保守」と定義するのであれば――です。

――で、今回の『建国戦争』。

李承晩(イ・スンマン)大統領の功績を讃える映画となっていますが、これが国民に受けているというのは、あらためて反共主義に立ち返り、運動圏上がりの左派・進歩系を批判するという話になるのでしょうか。

「21世紀に輝く経済・文化大国 韓国」の根源はどこに?

いずれにせよ、ここにきて李承晩(イ・スンマン)さんを再評価するというのは、面白い動きです。「韓国が拠ってたつものは何か?」について、あらためて韓国の皆さんが考えるようになった――のを示しているのかもしれません。

『建国戦争』についての論評は、韓国メディアでも多種出ています。例えば、『ソウル経済』の記事の書き出しは以下のようになっています。

21世紀に輝く経済・文化大国韓国の基盤はいつ築かれたのだろうか。

特定の時代の中の一人物が英雄のように「漢江の奇跡」を成し遂げたと考えるかもしれないが、これは人類史の複雑さを過小評価した考えだ。

さまざまな決定的な出来事が長期間にわたって別々に起こり、共同体の進路を決定したと見るのが合理的である。
(後略)

⇒参照・引用元:『ソウル経済』「『建国戦争』が好きでも嫌いでも知っておくべき本当の農地改革の物語1」

21世紀に輝く経済・文化大国韓国」という表現には、呆れずにはいられませんが、「農地改革」に焦点を当てるのはいいことでしょう。

ただし、その前段階、日本の併合時代に「土地の私有が認められるようになった」ことにも言及していただきたいものです。

なにせ、日本の朝鮮半島全土に対する土地調査、日本が敷いた制度がなければ、誰がいったいどのくらいの土地を保有しているのか、誰にも分からなかったのです。

「21世紀に輝く経済・文化大国 韓国」とやらの根源をさかのぼれば、日本が併合時代にもたらした「近代化」があるのですから。

(吉田ハンチング@dcp)

広告
タイトルとURLをコピーしました