韓国メディアは基準金利(政策金利と同義:韓国では「基準金利」と呼称)を引き下げたくて仕方がありません。
『韓国銀行』が基準金利についての記者会見を開くたびに、記者が「金利をいつ下げますか」と質問して、李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁をゲンナリさせてきました。
韓国は不景気ですから「流動性を増やすためにも下げてくれ」という気持ちは分かるのですが、『韓国銀行』はアメリカ合衆国の動きを見ながら慎重に行う常道を取っているだけです。
↑韓国の基準金利のこれまでの推移。2023年01月の「3.50%」に上げてから維持しています。
2024年03月14日、『韓国銀行』が公表した「通貨信用政策報告書(2024年03月)」についての記者会見が開かれたのですが、またぞろ「金利はいつ下げますか」が出ました。
韓国メディア『毎日経済』が「韓国、米国より先に金利引き下げ……韓銀 “各国の自律的な金融政策も効果的”」というタイトルの記事を出しました。
このタイトルだけ見ると、まるで『韓国銀行』(韓国金融通貨委員会)が、先制的に金利を下げる決断をしたように受け取れますが、事実は全く逆です。
同記事は、「通貨信用政策報告書(2024年03月)」内にある「各国の中央銀行が自律的な通貨政策を通じて効果的にマクロ経済を調整することができる」という言葉尻を捉えて、「『韓国銀行』が金利を先制的に下げるかもしれない」と取れるようなタイトルの記事に仕上げただけです。
その証拠に、報告書説明会でイ・サンヒョン『韓国銀行』副総裁補佐は、
「02月の金融政策委員会総裁記者懇談会で(李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁は)物価が目標(2%)水準に収束するという確信が得られるまで、現在の緊縮基調を維持すると明らかにしている」
「(このような点を考慮して)上半期の経済見通しを踏まえると、上半期中の金利引き下げは容易ではないと思う」
と述べているのです。
また、Money1でもご紹介しましたが、韓国のインフレ率はまた「3%」台に戻ってしまいました(コアは2.5%)。
合衆国の動きも見極めないといけませんし、韓国だけ先にホイホイ金利を下げるのは難しいと考えられます。
李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁は「おれ、バカ嫌い」という風情な人なので、「金利をいつ下げますか」な質問には、心底うんざりしていると思われます。
最近は聞かなくなりましたが「米韓通貨スワップは締結されますか」という質問にうんざりしているのと同じです。
(吉田ハンチング@dcp)