【半導体戦争】韓国「オランダ政府も25億ユーロ出すというのにウチの政府は……」と嘆き節

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韓国メディアが、オランダ政府と自国企業『ASML』との間の軋轢について記事にしています。

読者の皆さまもご存じのとおり、『ASML』は半導体製造用の露光装置で世界的な技術を有し、『ASML』の露光装置がないと、半導体製造企業は困ったことになります。


PHOTO(C)『ASML』

実は本件は2024年03月06日に、オランダメディアなどが報じたもの。

どういう話かというと――オランダ『ASML』が「外国に移転しようかなあ」と検討しており、オランダ政府が、それを阻止するため「ベートーベン作戦」を実施している――という話です。

Veldhoven(フェルトホーフェン)に本拠地を置く『ASML』は、オランダにとって非常に重要な企業です。オランダ国内に2万1,000人以上の従業員がいて、その40%が国際的な人材である――とされます(世界では4.2万人を雇用しています)。

『ASML』が外国に移転するようなことになると、多くの雇用と優秀な人材を同時に失うことになります。

『ASML』がなぜ「移転しようかなあ」などと言っている(政府に対する牽制)かというと、オランダ政府の政策に懸念しているからです。

具体的には、政府が「知識移民に対する税制優遇措置を段階的に廃止ししようとしており、このままでは優秀な人材を採用し続けることができなくなる――といった懸念です。

Peter Wennink CEOはそのCEOとしての最後の記者会見で「『ASML』の成長は才能に依存しています。ここで入手できなら、よその場所に行きます」と述べました。

――で、オランダ政府は『ASML』外国に移転しないように、秘密作戦「ベートーベン」に取り組んでいる――というわけです。


↑韓国の尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領も『ASML』を訪問しました。

2024年03月28日になって明らかになったのですが、ベートーベン作戦は――『ASML』が本拠地を置くフェルトホーフェン近くの、Einthoven(アイントホーフェン)の住宅、教育、交通、電力網インフラを大々的に改善するために25億ユーロ相当の予算を支援(地方政府が8億ユーロを支援し、残りは中央政府で負担)。企業の経営負担を軽減するために、新しい税制給付措置を議会に提出する――などの内容となっています。

オランダ政府は「これらの措置を通じて『ASML』が継続して投資し、法上、会計上、実質的な本社をオランダに維持し続けると期待する」と声明を出しました。

「移転しない」という保証を『ASML』に求めたわけです。これに対して『ASML』は、「発表された計画が議会の支持を受けているならば、私たちの事業拡大に関する最終決定を完了するためにオランダ政府と協力し続けるだろう」と述べています。

オランダ政府の提案に対して、慎重な姿勢を見せたわけです。

韓国メディアは政府に「お金を出せ」といっている

なぜ、オランダ『ASML』についての記事を韓国メディアが出しているのかというと――これは韓国政府に対する文句です。

先にもご紹介したとおり、韓国メディアは「このままでは韓国の半導体産業はアメリカ合衆国・日本・台湾に置いていかれる」と考えています。

Chip4ならぬChip3で事態が進行しそうだからです。

アメリカ合衆国・日本は巨額の補助金を出しているというのに、韓国政府は実弾を打っていません。投資に対する税制優遇のみであることに「これじゃ駄目だ」と焦っているのです。

オランダも『ASML』に25億ユーロ出すというのに……」というわけです。しかし、出したくても「お金がない」のでどうしようもない――というのが韓国政府の現状です。

25億ユーロといえば日本円で「約4,089億円」。ざっくり10倍して「約4兆890億ウォン」です。韓国政府に出す決断ができるとは思えません。

毎度おなじみの「お前らが借りろ(融資するように金融機関には言ってやる)」ならできるかもしれませんが、政府が「補助金」として給付する――なんて話は無理です。

韓国というのは、イソップ童話のカエルみたいな国で、「先進国には負けてないぞ。これぐらい大きく膨らむぞ」などといって、自身の体を膨らませて破裂するのです。

しかし、半導体産業が中国に追いつかれたら「おしまい」なのは確か(他には何もないので)。韓国政府がどうするのか、は一見の価値があります。

半導体をすっかり諦めて「ラーメンと海苔とK-POP」に注力するというのも一つの選択肢ではあります。なぜなら、中国が半導体技術で韓国に追いついたら、ディスプレーや造船と同様、安売り競争で確実に負けるからです。

もちろん世界的な地位は下がりますが、それも「一つの道」には違いありません。

(吉田ハンチング@dcp)

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