韓国「産業通商資源部」(Ministry of Trade, Industry and Energy)は2020年01月21日に「2019年韓国のICT産業は輸出額1,767億ドルを計上」というプレスリリースを出しています。
ICTは、情報(Information)、通信(Communication)に関する技術(Technology)という意味で、サムスンやLG電子など、韓国の屋台骨を支えてきた企業の多くはこのICT分野に属しています。
1,767億ドルといえば「約19兆3,903億円」※ですからその輸出額は大したものです。
※02月10日10:43 UTC「1ドル=109.74円」で計算。
しかしこのプレスリリースの肝は以下のさらっと書いてある部分です。
Outbound shipments of ICT goods last year decreased 19.7 percent compared to 2018 due to stagnant markets for major items, the slowdown of global economy including China, and the base effect.
昨年のICT商品の出荷は、主要品目の市場の停滞、中国を含む世界経済の減速、および基本効果により、2018年と比較して19.7%減少しました。
⇒参照・引用元(以下同):『産業通商資源部』「Korea’s ICT industry posts exports of $176.9 billion in 2019」
http://english.motie.go.kr/en/pc/pressreleases/bbs/bbsView.do?bbs_cd_n=2&bbs_seq_n=762
その後に、
However, the ICT exports achieved the third highest value in history.
しかしながら、ICT(関連商品)の輸出は韓国史上三番目に高い額を達成しました。
と続きますが、19.7%の減少の方が重大です。
「%表記」にするとそれほど減っていないと感じるかもしれませんが、金額では前年の「約2,200億ドル」から「433億ドル」も減っているのです。433億ドルといえば「約4兆7,515円」です。
さらに以下のような記述もあります。
By product category, exports of three major items (semiconductors, displays, and mobile phones) all saw declines. Semiconductors dropped 25.7 percent to $95.2 billion from a year earlier due to the base effect, decreasing demand, and lower prices following the increase in supply.
製品カテゴリごとに見ると、3つの主要品目(半導体、ディスプレー、携帯電話)の輸出は全て減少しました。
半導体は、ベース効果、需要の減少、および供給の増加に伴う価格の低下により、前年より25.7%減少して952億ドルになりました。
Displays decreased 21.3 percent to $21.8 billion. Exports of liquid-crystal displays (LCDs) contracted due to falling prices caused by fiercer competition, and exports of light-emitting diodes (OLEDs) were stagnant.
ディスプレーは21.3%減少して218億ドルになりました。液晶ディスプレー(LCD)の輸出は、激しい競争による価格の下落により縮小し、有機EL(OLED)の輸出は停滞しました。
Mobile phones fell 17.8 percent to $12.0 billion due to slow global growth for smartphones, increased overseas production, and extended replacement cycle of smartphones. However, the global share of Korean firms expanded.
携帯電話は、スマートフォンの世界的な成長の鈍化、海外生産の増加、およびスマートフォンの交換サイクルの延長により、17.8%減の120億ドルとなりました。しかし、韓国企業の世界的なシェアは拡大しました。
プレスリリースのタイトルこそ威勢がいいのですが、実は減少額は大きくで、しかも「そこが減っちゃ困るでしょう」というカテゴリーが全部前年割れという、なんというか韓国にとって大変に困る内容になっているのです。
非常にマズイ状況ではないでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)