コロナ禍によって航空会社は世界的に危機的状況となっています。韓国も例外ではありません。
『大韓航空』と『アシアナ航空』はなんとか窮地を脱しましたが、LCC(格安航空会社)の方は総崩れ状況から逃れられていません。
株式を上場しているのは『済州(チェジュ)航空』『ティーウェイ航空』『ジンエア』『エア釜山』の4社ですが、2021年の業績も以下のように真っ赤です。
●『済州航空』
総売上:2,730.8億ウォン
営業利益:-3,174.6億ウォン
当期純利益:-2,722.8億ウォン●『ティーウェイ航空』
総売上:2,143億9,524万ウォン
営業利益:-1,483億2,684万ウォン
当期純利益:-1,562億4,378万ウォン●『ジンエア』
総売上:2,471億9,100万ウォン
営業利益:-1,852億5,000万ウォン
当期純利益:-1,335億8,300万ウォン●『エア釜山』
総売上:1,765億200万ウォン
営業利益:-2,039億6,400万ウォン
当期純利益:-2,659億6,100万ウォン
韓国のLCCは、2019年07月の「日本による韓国への輸出管理強化」に端を発する「NoJapan運動」によってドル箱であった日本路線を自ら失い、経営が傾きました。
途端に業績が悪化し赤転したのです。自業自得です。
それに追い打ちをかけたのが2020年初頭からのコロナ騒動でした。韓国のLCCは赤字を継続し、キャッシュの枯渇に耐えながらここまできました。
「有償増資」「無償減資からの有償増資」などの手を使って延命を図ってきたのですが、赤字が継続しているので根本的な解決には至っていません。
ここまでが背景です。
2022年05月25日、『済州航空』は「私募永久債」790億ウォンを発行することを明らかにしました。
永久債というのは、発行体(この場合は『済州航空』)が存続する限り利払いを受けることができるという債券です。ただし元本の償還はありません。
『済州航空』は「2022年第1四半期末時点で保有する現金性資産は2,200億ウォンで十分な状況」としていますが、果たしてそうでしょうか?
2021年の営業損失が「3,174.6億ウォン」もあって、いまだに赤字を継続しているのに十分といえるでしょうか。現金枯渇に備えてのこととしか見えません。
しかも、この私募永久債の条件が厳しいものです。
発行金利は「7.4%」、ステップアップ条件があって1年後から毎年1%ずつ上昇します。上限は12.4%です。
このような債券を発行しなければならないほど経営が危なくなっていると見ることが可能です。
――というわけで、韓国LCCの飛ぶ空は相変わらず暗雲が垂れ込めています。
(吉田ハンチング@dcp)