2024年08月07日、『韓国銀行』が「2024年06月の国際収支統計」を公表しました。
以下が経常収支の部分です。
2024年06月
貿易収支:114億6,860万ドル
サービス収支:-16億1,890万ドル
第1次所得収支:26億9,020万ドル
第2次所得収支:-2億8,070万ドル
経常収支(上記4つの合計):122億5,920万ドル⇒データ出典:『韓国銀行』公式サイト「ECOS」
当月は経常収支が100億ドルを超えて、大きな黒字となりました。さかのぼると、韓国の経常収支が100億ドルを超えたのは、2021年05月の「113億720万ドル」以来、実に37カ月ぶりのことです。
当月このような大きな経常収支黒字になったのは、ひとえに貿易収支が「114億6,860万ドル」もの黒字を出せたからです。
2024年06月
輸出:588億2,160万ドル
輸入:473億5,300万ドル
貿易収支(輸出 – 輸入):114億6,860万ドル⇒データ出典:『韓国銀行』公式サイト「ECOS」
114億6,860万ドルもの黒字が出せたのは、半導体などの輸出が伸びたこと、また輸入が「473億5,300万ドル」と縮小した結果です。輸出は対前年同期比で「8.7%」の増加です。
実は輸入の方は、対前年同期で「-5.7%」です。巨額の貿易収支黒字には、輸入が減少しているのも影響している、というわけです。
韓国メディアでは「経常収支が100億ドル超え」で万々歳かもしれませんが、当月の国際収支統計で面白いのは、金融収支の方です。
金融収支の直接投資は「52億6,070万ドル」です。前月と似た数字です。それはいいのですが、問題はこの中身です。
直接投資 2024年06月
資産:48億8,650万ドル
負債:-3億7,420万ドル
収支:52億6,070万ドル
直接投資の負債の部は「-3億7,420万ドル」です。負債の部は、外国から韓国への直接投資を計上する部分なので、これがマイナスということは、外国にその分お金が出ていったのです(外国人が保有する韓国資産が減ったことを意味します)。
証券投資では「90億2,520万ドル」とここも大きなプラスなのですが、これまた資産と負債が面白いことになっています。
証券投資 2024年06月
資産:66億3,130万ドル
負債:-23億9,390万ドル
収支:90億2,520万ドル
こちらも負債の部で「-23億9,390万ドル」です。やっぱりマイナスで、つまり外国は韓国から約24億ドル分の資金を抜いたのです(上と同様にその分韓国資産を減らした)。
最後にその他投資。「その他投資」って何よ?と思われるかもしれませんが、これは外国との融資のやり取りを計上する項目です。
資産の部には、韓国が外国に融資したお金が資産として計上され、負債の部には、逆に外国が韓国に融資したお金が計上されます。韓国からすれば負債になるからです。
その他投資 2024年06月
資産:-38億780万ドル
負債:4億400万ドル
収支:-42億1,180万ドル
資産がいきなりマイナスの数字ですが、これは韓国が有する対外資産が減少したことを意味します。つまり、韓国から融資を受けていたのですが、その分(約38億ドル)を返済し、韓国にとっての資産が減少したわけです。
一方の負債の部は、プラスで約4億ドル。これは韓国にとっての負債増で、外国が韓国に対してちょびっと――約4億ドル分を融資したわけです。
経常収支の方を見ると――やったー貿易収支が巨額黒字(輸入が縮小している点はありますが)かもしれませんが――金融収支の方を見ると、外国が韓国にお金を入れなくなっている様子が見えるのです。
この動きが次月も続くかどうか、ぜひご注目ください。
(柏ケミカル@dcp)