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韓国政府が「基準金利下げろ」と『韓国銀行』に圧力。

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2024年08月21日、韓国金融通貨委員会(中央銀行である『韓国銀行』が主導)は、基準金利を13回連続で凍結。「3.50%」に据え置きました。

韓国でいう基準金利は「政策金利」と同義です。

Money1でもご紹介してきたとおり、韓国メディアのみならず韓国政府内からも「下げろ」の声が強いです。

今回の金利凍結に不満があるようで、『毎日経済』の報道によると、異例なことに大統領室高官から――

金利決定は金融通貨委員会の専権事項だが、内需振興の観点からは残念な点がある

――という発言があったとのこと。

公式な発言ではないものの「基準金利を下げろよ」という圧力です。

韓国政府「そろそろ金利を下げようよ」を『韓国銀行』総裁が一蹴!
もう何度もご紹介していますが、韓国は不景気で、メディアは口を開けば「金利を下げよう」「先制的に金利を下げる余地がある」といいます。『韓国銀行』の李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁は記者会見があるたびに慎重な発言を行い、韓国人記者を否いなしてきまし...

上掲記事でご紹介したとおり、大統領室の成太胤(ソン・テユン)政策室長がラジオ番組で「環境も整ってきたし、そろそろ金利を下げてもいい」という主旨の発言を行いました(2024年06月19日)。

『韓国銀行』からすれば、まさに『うっせーわ』であり、「中央銀行の独立性」とやらをうんぬんする国にしては露骨な圧力です。もっとも、中央銀行の独立性というのは「政府の方針と全く異なる金融施策を好き勝手に進めていい」ということではありませんが。

『韓国銀行』の方針に異を唱えるのはもちろん政府の勝手ですが、先にご紹介したとおり、韓国は金利を下げていい状況であるのかは悩ましいところです。

政府が基準金利を下げたいのは市場金利が下がり、お金が回るのを期待してのことです。しかしながら、この緩和した資金が不動産市場に突っ込まれることがあると、住宅ローンを拡大させて家計負債を拡大させる可能性大です。

まともな内需が不動産しかなく、また資産のほとんどが不動産である韓国からすれば、不動産市場の右肩が上がるのは助かることです。しかし、家計負債がまた異常なほど上昇すると――『IMF』(International Monetary Fundの略:国際通貨基金)などから「お前らは何をやっとるんじゃ」とお目玉を食らうこと必至です。

『IMF』(International Monetary Fundの略:国際通貨基金)のデータで見ても、家計負債の対GDP比は105%(世界第4位/2022年時点)。これが『IIF』(Institute of International Financeの略:国際金融協会)のデータになると「93.5%」で世界第1位です(主要38カ国中で)。

いずれにせよ、韓国の家計負債は世界トップクラスの水準であることに違いありません。

韓国の皆さんは「日本は借金大国」などと揶揄することがありますが、これは政府負債のことを指しており、家計負債ではありません。ちなみに日本の家計負債は対GDP比率で「68%」(同『IMF』の公表データによる)。

韓国の方が借金大国だというのが本当です。

先にもご紹介したとおり、韓国政府が抱えているのは、不動産市場は盛り上げたいけど家計負債を増やされるのも困るというジレンマで、これを両方達成することは不可能なのです。

なにより、住宅市場の異常な価格上昇が懸念されるのであれば、それをコントロールするのは韓国政府の仕事です。まだ金利が上がっていない状況で不動産市場に異常が検知されているのなら、それこそ政府が管理すべきなのです。

ですから、この状態で韓国政府が金融通貨委員会や『韓国銀行』に「金利下げろよ」というのは、自身の仕事を放棄しているのに等しい物言いです。

(吉田ハンチング@dcp)

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