【老後資金を作ろう!】 資金を「倍」に増やす! あなたもできる!

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前回に続いて『一般社団法人 日本つみたて協会』の太田創(おおた つくる)代表理事に「金融リテラシー」についてお話を伺います。

日本人は欧米人に比べて投資についてのリテラシーが足りないといわれます。

しかし太田先生によれば、日本人の金融リテラシーが低いのではなく、銀行貯金によってお金を増やすことができなくなったことが不幸であり、その代わりになるシステムの整備が進んでいない(認知されていない)ことで「老後が不安になる」とのこと。

では、どうすれば老後の心配をしないで済むように「お金を増やす」ことができるのでしょうか。

利用できる制度は使う! お金を増やせる投資先は……

――前回も説明されていましたが、日本はマイナス金利政策のおかげで銀行金利がとても低く抑えられており、銀行にお金を預けていても増えません。かつてのように7-8%も金利が付けば10年間で元本は倍になったのですが、今では夢のような話です。

太田先生 そうですね。

――日本人はどのようにお金を増やし、老後資金を作るべきなのでしょうか?

太田先生 まず、現在ある制度を十分に利用することです。運用益が課税されない「NISA」と、運用益が課税されず税額から拠出金分が控除される「iDeCo」(個人確定拠出年金)は必ず使うようにしましょう。

――「NISA」「iDeCo」は自分が決めた金融商品(株式・投資信託・ETFなど)に投資をする、というスタイルです。一般の人は何を選んだらいいのか迷うと思うのですが。

太田先生 一番簡単で確実だと思われるのは、米国の株式指数(インデックス)に連動したものです。例えば、「S&P500指数」「ニューヨーク・ダウ」などに連動したもの。これらを選んでおけばいいでしょうね。

S&P500指数」とは?

「S&P500指数」は「Standard & Poor’s 500 Stock Index」のこと。ニューヨーク証券取引所、NYSE MKT、NASDAQに上場している銘柄の中から500銘柄をピックアップし、その株価を基に算出されます。アメリカ合衆国株式市場を代表する株価指数の一つです。

――その理由は何ですか?

太田先生 極めてシンプルで、ずーっと右肩上がりを続けてきたからです。例えばリーマンショックなどでいったんは大きく下がりますけれども、必ず上昇してきました。最も信頼できる株価指数といえます。

時間だけが投資家の味方である!

太田先生 上掲の図を見てください。これは1968年ごろから直近までの「S&P500指数」のチャートです(チャートは『TradingView』より引用)。

2000年頃には「ITバブルの崩壊」、2008年中盤ごろには「リーマンショック」があって、大暴落をしていますが、たとえそのバブルの頂点で購入していたとしても、保有し続けていれば現在は「倍以上」になっています。

――この先も上がり続けるでしょうか? そこが心配ですが。

太田先生 「S&P500指数」が暴落してそれきり上がらないということは、米国企業や米国経済全体経済が崩壊して成長を止めるということです。そんな将来が想像できるでしょうか? もしそんなことが起こったらそれこそ世界経済全体が駄目になってそれっきりということです。

ただし、どこかでリセッション景気後退)やリーマンショック並みの暴落が再び起こって調整が入るでしょう。これは経済活動が人間の行動の一種であり、景気サイクルの一環ですから仕方がありません。

ですから、ずっと保有し続けることでそれも乗り越えて上昇するだろうと考えるわけです。実際、上掲のとおり「そうなってきました」。

つまり、どこで入っても同じです。

これまでの「S&P500指数」の動きを見ていると、ざっくり20年で倍になります。「S&P500指数」に連動した(「S&P500指数」に連動するよう設計されている)投資信託を購入しておけば元本が倍になることが期待できるわけです。

ただし、それには時間がかかります。また、ざっくり20年で倍になることを考えて、日毎の値動きに一喜一憂してはいけません。そのような細かい値上がり、値下がりは時間と共に平準化されていきます。「時間だけが投資家の味方」なのです。

――先生ご自身も「NISA」や「iDeCo」(個人確定拠出年金)に投資していらっしゃるのですか?

太田先生 もちろんですよ(笑)。ただ私のiDeCo(個人確定拠出年金)では「古いタイプ」のため選べる金融商品の中に「S&P500指数」に連動する投資信託がないんです(_| ̄|○)。

仕方がないので信託報酬が年間1.05%とお高めの「ステート・ストリートDC外国株式インデックス・オープン」 を選んでいます。まあいいか……と。iDeCoの運営管理機関を変更するのはかなり面倒なので……。さすがの私でも心が折れました(泣)。

長期間投資すれば為替レートも平準化されるはず!

――いっそのこと米国の株式に直接投資するというのはどうでしょうか?

太田先生 それもいいと思いますよ。ただし、その場合は投資信託と同様に結局はドルで投資することになりますから、前述の「為替変動リスク」の問題がありますね。

日本人が米国市場に投資する場合には、円をいったんドルに換えなければなりません。例えば、そのとき「1ドル=100円」だったとして、20年後に「1ドル=50円」とレートが半分になっていたら、米国株式がドルベースで2倍の価格になっていたとしてもトントンです。ちっともお金が増えなかったなんてことがあり得ます。

――それはイヤですね。

太田先生 ただし、これも長期間、例えば毎月3万円と決めて(ドルに換えて)コツコツ米国株式に投資して20年続ければ、為替レートも平準化されます。ですから、いたずらにリスクを考えるよりも、この場合もコツコツ続けることを考えた方がいいですね。

――やはりこつこつと長期間続けることがお金を増やすコツなのですね。

太田先生 はい。繰り返しになりますが、

投資家にとって唯一の味方は「時間」

です。このことを忘れないようにして、お金の増やし方を考えるようにしてください。

――ありがとうございました。

太田先生に「お金の増やし方」について伺いましたが、いかがだったでしょうか。「20年で倍」なら可能なようですね。皆さんも俄然やる気が出てきたのではないでしょうか?

太田先生のお話に興味を持った方は、先生が代表理事を務める日本つみたて投資協会』のサイトにもアクセスしてみてください。

文・構成(高橋モータース@dcp)

太田創 Profile
『一般社団法人 日本つみたて投資協会』代表理事。

1985年、三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入社 英国・ブラジル駐在。2000年、シティグループ(米国) ディレクター。2006年、UBSウェルス・マネジメント(スイス)ディレクター。2007年、フィデリティ投信(米国) 部門長。2015年、GCIアセット・マネジメント 執行役員。2019年8月、一般社団法人日本つみたて投資協会 設立。

『ETF投資入門』(日経BP,2008年)、『毎月3万円で3000万円の「プライベート年金」をつくる米国つみたて投資』(かんき出版,2019年)、『(DVD)米国つみたて投資月3万円で3000万円の資産運用』(パンローリング,2019年)など著書多数。

⇒『一般社団法人 日本つみたて投資協会』公式サイト
https://www.tsumitate.or.jp/

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