韓国の素晴らしい民主主義を示す事案だといえます。
焦点は「大統領代行が拒否権を代行するか?」
2024年12月14日(土)に、国会で大統領弾劾訴追案が可決されました。これによって、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領は職務停止となり、大統領権限を行使できなくなりました。
憲法の規定(韓国憲法第71条)によって、大統領職の代行は韓悳洙(ハン・ドクス)国務総理(首相に相当)が行うことになりました。
↑大統領の職務停止によって、大統領代行となった韓悳洙(ハン・ドクス)首相。上掲は2024年12月15日にバイデン大統領と電話で話しているところ。この人は苦労人です。Money1でも少しだけご紹介しましたが、韓悳洙(ハン・ドクス)さんは先に(戒厳令騒動の前)辞意を表明しているのですが受理されませんでした。
ここで焦点となるのは「大統領が独自の権利として保持する拒否権」です。
韓国国会で傍若無人に振る舞っている最大野党『共に民主党』は、これまで好き放題に法案を可決してきました。
しかし、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領が、拒否権を発動。大統領だけが持つ拒否権が使われると、国会を通過した法案であっても国会に差し戻しになります。差し戻しになった法案は国会で2/3以上の賛成がないと再通過できません。
左派・進歩系の議員は192人しかおらず、国会の2/3を満たせません※。対する政府与党『国民の力』が108人ですので、再票決となった場合、『国民の力』議員が総出で反対すれば、その法案は再可決できる廃案に追い込めました。
※韓国の国会議員定数は300です。
この大統領拒否権 ⇒ 再可決不可 ⇒ 廃案
というルートが、好き放題を行う『共に民主党』に対する最後に残った歯止めです。
だからこそ、『共に民主党』はなんとしても尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領を引きずり下ろしたかったともいえます。
そのため、大統領代行となった韓悳洙(ハン・ドクス)首相が拒否権をも代行できるのか?――が焦点になるのです。
「お前も弾劾訴追するぞ!」と脅す『共に民主党』
――といった状況ですので、『共に民主党』は韓悳洙(ハン・ドクス)首相を「お前も弾劾訴追してやろうか」と脅しています。
韓国メディア『朝鮮日報』の記事から一部を以下に引きます。
(前略)
『共に民主党』のファン・ジョンア報道官は、党の最高委員会を終えた後、「(『共に民主党』主導で国会を通過した)穀物管理法など6つの法案に対して、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領と同じ拒否権を行使するなら、事実上『尹錫悦政権シーズン2』ではないか」
とし、
「万が一に備えて弾劾案を準備中だ」と述べた。
6つの法案に対する拒否権行使の期限は21日までである。韓悳洙(ハン・ドクス)権限代行は6つの法案について拒否権行使に重きを置き、解決策を検討していると伝えられている。
(中略)
↑朴贊大(パク・チャンデ)院内代表さんというのは、いつも李在明(イ・ジェミョン)さんの隣にいる腰巾着のことです。李在明(イ・ジェミョン)さんの防弾板のひとつ。『共に民主党』の朴贊大(パク・チャンデ)院内代表もこの日、最高委員会で
「韓悳洙(ハン・ドクス)権限代行に警告する。拒否権行使を放棄せよ」とし、
「農業関連4法など民生法案に拒否権を行使するという見通しが出ているが、権限代行の立場を大統領になったと錯覚してはならない」と述べた。
パク院内代表は「権限を乱用して拒否権を行使すれば黙ってはいない」と声を強めた。
(後略)
『共に民主党』は韓悳洙(ハン・ドクス)首相に対して、法案に拒否権を発動したらただではおかない、お前も弾劾訴追してやる――と脅迫しています。
「次はお前なのか?」という明らかな脅迫であり、まるでヤクザのやり口です。
このように、韓国では素晴らしい民主主義の成果が見られるようになっています。
※韓悳洙(ハン・ドクス)首相は2024年12月19日に国務会議を開き、拒否権を発動するかどうか決めるとのこと。韓悳洙(ハン・ドクス)首相が突っ張り通せるかどうかが見ものです。
(吉田ハンチング@dcp)