中国でまた小役人の巨額不正蓄財事件が発覚して話題になっています。事件自体は2024年から知られていたのですが、なぜか今になって「共産党の党籍を剥奪だ!」となったのです。
以下が公的な報告の中身です。全文和訳ですが、面倒くさい方は飛ばして次の小見出しまで進んでください。
中国証監会原発行監管部監管第四処処長 楊郊紅が党籍を剥奪される
2025年08月17日中央紀律検査委員会・国家監察委員会 中国証券監督管理委員会駐在紀検監察組、江蘇省宿遷市紀律検査委員会・監察委員会の消息による:
このほど、中央紀律検査委員会・国家監察委員会の批准を経て、同駐在紀検監察組と江蘇省宿遷市紀委監委は、中国証監会原発行監管部監管第四処処長・楊郊紅の重大な規律違反・違法問題について規律審査と監察調査を行った。
調査によれば、楊郊紅は理想信念を喪失し、初心と使命から背反した。
在職期間中に職務上の便宜を利用し、離職後もなお元の職権または地位による便宜を利用して、上場予定企業の原始股(未公開株のこと:引用者注)を取得しており、これは「逃亡的辞職」腐敗の典型である。
党に対して忠誠でも誠実でもなく、「白手套」(名義貸し)、「影子股东」(影の株主)といった手段を通じて組織審査を回避し、複数人と口裏を合わせ、証拠を破壊・隠匿し、組織審査に対抗した。中央八項規定精神に違反し、違規で贈答品や消費カードを受け取り、廉潔の底線を喪失し、「突撃入株」という方式で上場予定企業の原始株を取得し、巨額の不正利益を得た。
楊郊紅の行為は党の政治規律、中央八項規定精神、廉潔規律に重大に違反し、重大な職務上の違法を構成し、収賄犯罪の嫌疑がある。
党の第18回大会以降さらには第20回大会後に至ってもなお自制せず、手を引かず、その性質は重大で影響は悪劣であり、厳しく処分されるべきである。
『中国共産党紀律処分条例』『中華人民共和国監察法』などの関連規定に基づき、中国証監会党委の研究を経て、楊郊紅に対して党籍剥奪処分を科し、その違法所得を没収することを決定した。
江蘇省宿遷市監察委員会の研究を経て、楊郊紅の犯罪容疑問題を検察機関へ移送し、法に基づき審査・起訴すること、関連財物をすべて併せて移送することを決定した。
出典:中央紀律検査委員会・国家監察委員会 中国証券監督管理委員会駐在紀検監察組、江蘇省宿遷市紀律検査委員会・監察委員会
中国「小役人」の極悪“不正蓄財”の最新例

↑未公開株を利用して不正蓄財をしていたのが発覚。党籍剥奪の上逮捕された楊郊紅さん。
『中国証券監督管理委員会』発行監管部の第4処の処長だった楊郊紅さんが、不正行為を働いたことが調査によって発覚したので、共産党籍を剥奪した――という内容です。
発行監管部というのは、IPO審査を担当する部署です。お金の臭いがプンプンしますが、案の定、株式上場をテコした不正蓄財を働いていたのです。
保有していた未公開株を、上場後に売却して利益を隠匿していたと書かれています。さぞかし巨額を手に入れたと考えられますが、その実態は想像を絶しています。
中国語メディアによると――、
(前略)
楊郊紅は証監会に20年以上在職しただけで、合法的年収の300倍を超える不正所得を蓄財することができた。それは中国証券市場のIPO審査の過程において権力の私物化が深刻である問題をも露呈している。(中略)
伝えられるところでは、楊郊紅は2016年に自ら退職した後、完全に姿を消し、いかなる金融機関にも公に就職せず、現在ネット上には彼のぼんやりとした顔写真が1枚あるのみだ。
しかし彼の日常生活は非常に贅沢で、常にゴルフ場に出入りし、腕前はすでにアマチュア選手のトップレベルに近づいていた。(後略)
※退職するときに理由は「父の看病をしなければならない」だったそうです。しかし退職後もこれまでのツテ(20年も勤務していた)を使って同様の不正蓄財を続けていました。
――とのこと。
また、楊郊紅が調査を受けた後、自宅から押収された現金はおよそ3トンにのぼり、金額にして2~3億元人民元、約2,800万~4,200万ドルと見積もられている。
楊郊紅の自宅に山のように積まれた人民元紙幣はすでにカビ臭を放っていたという。
――となっています。自宅から現金が3トン分も出たのです。
このエピソードから、中国本土のSNSなどでは楊郊紅さんに「三吨处长(3トン処長)」というあだ名が付いています。
傑作なのは「“小役人巨額汚職”の新たな伝説を作った」などと書かれていることです。
「小役人巨額汚職」は、なかなかのパワーワードではないでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)






