韓国政府「経済を支える産業を見つけることが困難な切迫した状況だ」

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2025年08月22日、韓国の企画財政部が「新政府経済成長戦略」を公表しました。

とうとう大統領に成りおおせた李在明(イ・ジェミョン)さんが新政権を率い、経済戦略を述べたものです。どん底景気な上に「この先どうするつもりなのか?」は誰もが聞きたいところです。

Money1でも何度もご紹介しているとおり、韓国経済はもはや袋小路に陥っています。何がないかというと中長期的に経済を発展させるための「」がないのです。

その意味では「こうします」には大変興味深いのですが、この新戦略については――はっきりいえば、目新しいものはありません。「できもしない」御託を並べているだけで、面白くはないのです。

それよりも、先に「前提」です。

切迫した状況を示す企画財政部のデータ

わが国経済を支える産業を見つけることが困難な切迫した状況」と自身で述べるほど切羽詰まっているのだ――という認識の方が重要です。

「新政府の経済成長戦略」の中にある――「これほど切羽詰まっているのだ」と提示されたデータをご紹介しておきます。引用元は全て企画財政部が出した資料です。

何度もご紹介していますが、そもそも韓国の潜在成長率はどんどん下がっています。またそれに呼応して経済成長率(GDP成長率)も低下しており、遠からずゼロ成長、マイナス成長に陥ると見られます。

左の潜在成長率のデータはちょっと分かりにくいのですが、『韓国銀行』が自分で再計算してみた――というデータを公表していますので、それを以下に引いておきます。

⇒参照・引用元:『韓国銀行』公式サイト「BOK Issue Note Potential Growth of Korea and Its Outlook [BOK Issue Note 2024-33]」

この論文の分析では2025~2029年の5年間は潜在成長率は「1.8%」ですが――果たしてそれで済むかね?です。その疑問は脇に置くとしても、どんどん下がっていくのは「やがて来る確実な未来」なのです。

潜在成長率とは――「労働力・資本・生産性を活用して、インフレ(物価上昇)を誘発することなく、最大限に達成できる経済成長率の見通し」――のこと。

新規の成長をつくるための投資は減少し地方の経済は衰退している

次は以下です。

左は新規ベンチャーへの投資金額ですが、コロナ禍明けの2021年にドンと増えましたが、以降は低調です。中国の猛追によって技術的優位性を失っていますので、新しいことに投資しなければなりません。しかし、その投資も漸減してきた――という状況です。

右の地域別の総生産ですが、ご注目いただきたいのは「首都圏」と「非首都圏」での乖離が徐々に大きくなっている点です。

読者の皆さまもご存じのとおり、韓国は出生数と死亡数がデッドクロスし、また合計特殊出生率が0.75という世界最低レベル。加えて首都圏への人口集中が異常な国です。

つまり、日本などより急速に地方の過疎化が進むのです。そのため、首都圏と非首都圏での「総生産の差異」がこれからさらに拡大します。

合計特殊出生率は「女性一人が15歳から49歳までに出産する子供の数の平均」です。この数字が2.2ないと人口は増えていかないといわれます。

政府負債が増えて「これからも持続可能か?」が問題

さらに以下です。

左はMoney1でも定期的にご紹介している政府負債の金額と対GDP比の比率です。ご覧のとおり、政府財政は毎年ほぼ100兆ウォンの赤字を出すのが常態化しており、この結果(借金してお金を回すので)政府負債は大幅に上昇。

右が国財収入の推移です。コロナ禍明けの2021年のドンと増え、2022年には396兆ウォンまでいったのですが、その後の2年は急減しました。

2021~2022年の大きな上振れは、アンポンタンの文在寅政権が不動産取引についての税金を大きく増やしたからです。

コロナ禍によって傷ついた経済を回復するために、金利を下げてお金をじゃぶじゃぶ回したのですが、これが資産バブルを招きました。不動産市場のバブルが膨らんだため、家計負債が急増。

アンポンタンの文在寅政権は家計負債の増加を止めるため、不動産取引に対して(懲罰的な)税を追加したのです。こういう点が文在寅政権のばかなところですが、このために税収が急増しました。

しかし、不動産取引が沈静化すれば国税収入が元に戻るのは自明の理です。

ばかな話ですが、文在寅政権は政府支出予算を600兆ウォン超に拡大し、その流れが現在にまで続いているのです。

先にご紹介したとおり、そもそも韓国政府の規模で600兆ウォンの支出は無理なのです。それが今や李在明(イ・ジェミョン)さんの政府は(補正予選を2回組んで)700兆ウォンオーバーにまで支出予算を膨らませました。

まさに「どうすんのコレ?」で、韓国政府は「財政的にも切迫した状況」に陥っている――というわけです。


韓国に何が必要かというと、「この先はこうするんだ」という戦略レベルでのグランドデザインです。

例えば朴正煕(パク・チョンヒ)大統領には「輸出立国だ。そのためには日本のお金と技術がいる。日本からお金を引っ張り、基礎技術を恵んでもらって、日本の成功をコピーしよう」というグランドデザインが明確にありました。

最初の計画こそ、前政権がつくったもので、表紙をつけかえたものだったかもしれませんが、しかし「これで成功する」という確信がありました。

なぜなら日本がそのやり方で成功しており、「成功をコピーしてやれ」という戦略だったからです。

もう何度だっていいますが、韓国というのは世界的に類を見ない「日本を丸ごとコピーしようとした国」なのです。

できたのは日本の劣化コピーですが、だからこそ現在の韓国は先が見えません。日本が何も教えてくれなくなったからです。

(吉田ハンチング@dcp)

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