そんなことは最初から分かっていただろうに……という話です。
韓国はアメリカ合衆国から「対米投資を行え」と強要され、「ここで造船業の復活だ」と「MASGA」※なる造語をつくってトランプ大統領に阿りました。
※ドランプ大統領の「MAGA」を文字って「MAKE AMERICA SHIPBUILDING GREAT AGAIN(アメリカの造船業を再び偉大に)」をひねり出しました。

なにせ上掲のような帽子をわざわざ作って、対米交渉に臨んだぐらいです。
合衆国政府からすれば「これって……うちの大統領の帽子をパクったものやんか」と見たでしょうし、「阿る野郎どもや」と蔑んだ目で見たことでしょう。
ただ、韓国からすれば合衆国の艦艇を受注できれば大きな利益になります。
はっきりいえば韓国の造船業はすででに斜陽産業であり、安値ダンピング受注の十八番は中国に奪われ、緩やかに死に向かっていました。受注しても会社が黒字にならない――という「もうやめればいいのに」という状況が続いていたのです。
しかし合衆国から受注が増加すれば、「韓国造船業が復活か?」という夢があります。
ところが――です。韓国メディアが「分かっていたこと」を報じ始めました。
例えば『国民日報』は「米・日、造船業協力覚書締結を推進…『韓国より受注競争で優位となる可能性』」というタイトルの記事を出しています。
ソースが日本の『読売新聞』なのですが、大変に面白い嘆き節を披露しているので、以下の引用をご覧ください。
アメリカ合衆国と日本が両国の造船業協力強化のための覚書を締結する見通しだ。
26日、『読売新聞』は複数の政府関係者を引用し、米・日政府がドナルド・トランプ大統領の27〜29日の訪日の日程に合わせて、造船業分野協力覚書を締結し、実務グループを設置すると報じた。
『読売新聞』によると、覚書には造船業関連の対米投資促進および技術革新などの内容が盛り込まれた。
覚書の草案には「強力で革新的な造船業が両国の経済安全保障、競争力に重要である」と明記された。
両国が船舶設計、部品の標準化、人材育成強化などを検討するという内容も含まれた。造船業は、日本が米国との関税協議で約束した対米投資5,500億ドルに含まれる協力分野の一つである。
韓国も合衆国造船業再建プロジェクト「MASGA(Make American Shipbuilding Great Again、米国造船業を再び偉大に)」を推進中だが、日本が競争で先行し、韓国にもたらされる恩恵が減少する可能性があるとの懸念も出ている。
(後略)
傑作なのは「韓国もMASGAを推進しているが……」です。
もう何度だっていいますが、合衆国政府が「MASGA」なんて言葉を使ったことはありません。韓国が勝手にトランプ大統領に阿ってつくった言葉だからです。
合衆国の軍用以外=商船の「外洋大型」に限ると、合衆国の建造能力は世界比で極めて小さく、事実上ほぼ失われたに近いのです。そのため韓国の造船企業を利用してやろうと目をつけているのは確かです。
しかし、韓国造船会社に「合衆国海軍の重要な艦艇」を整備させたり、発注したりはしないのです。
理由は簡単で、そんなことをしたら中国に軍事機密が漏れるからです。
この点を合衆国軍はしっかり理解しています。

↑『現代重工業』が公表した「補給艦の整備事業を受注した」というプレスリリース。
実際、合衆国は韓国造船企業と補給艦の保守業務、商船分野でのアライアンスを結んではいるのですが、核心海軍艦艇については合意などありません。

※主力戦闘艦を海外建造することは米議会の方針に反していますので事実上できません。
これがまだ尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領であれば「政権の経過観察を経て……」と合衆国政府も軟化したかもしれませんが――、「台湾にも謝謝、中国にも謝謝、ついでに日本にはカムサハムニダと言っときゃいいんだ」と嘯く李在明(イ・ジェミョン)が韓国大統領です。
重要な海軍艦艇をそんな国に触らせるわけがないでしょう。
――というわけで、日米が造船業についてどのようなアライアンスを組むか、まだ詳細は不明ですが、韓国が考えていた「トラタヌ」は相当規模を割り引いて考えなければならないでしょう。
いや、そもそも「合衆国は韓国を信用していない」と韓国メディアも分かっていたはずなのです。にもかかわらず「韓国造船業が復活だ」などという妄想を膨らませていたのは、まさに「身のほど知らず」としか評せません。
韓国の喜劇のような結末の多くは「自国を過大評価しすぎる」に端を発しているのです。
(吉田ハンチング@dcp)






