「EUから離脱じゃー!」となったイギリスでありますが、なんだか暗雲が垂れてきました。メイちゃん率いる保守党(Conservative and Unionist Party)が先日、地方議会選挙を圧勝で制し、総選挙も「これで決まりだ!」なんていわれていたのですが……。06月08日には投票日だというのに、支持率で野党に追い上げられているのです。
調査会社ユーガブの世論調査によると、与党保守党と野党の支持率の差は3%にまで縮まっているとのこと。「保守党42% 対 労働党39%」です。ただ、調査会社サーベイモンキーによる世論調査では「保守党44% 対 労働党38%」と「6%」差となっています。
労働党の追い上げが激しく、これがあと3日の選挙でどのような結果を演出するでしょうか? メイ首相は保守党への指示を盤石にして、EU離脱の交渉を進めたいと考えているようですが、果たしてうまくいくでしょうか!? もし総選挙の結果が思わしくないようなら英ポンドを揺さぶることになりそうです。
■イギリスの家計債務は過去最大規模!
本日の本題はイギリスのドボンな話です。日本人に指摘されたくないかもしれませんが、実はイギリスの経済状況も「あんまり」健全とはいえません。この斜陽帝国は「金融」だけでもっている国なのです。
先に南朝鮮の家計債務について記事を書きましたが、そのついでに世界各国のデータを調べてみましたら……イギリスも滅茶苦茶だったのです。イギリスがどうなっているかといいますと、英労働組合のレポートによると2016年9月時点で無担保債務総額が「3,490億ポンド」(日本円で約50兆円)に達しています。
これは、世界的な金融危機となった2008年を上回る規模で過去最大の数字です。問題なのは無担保債務でこの規模なので、
・住宅ローン:2,849億7、100万ポンド(約40兆円)
(データ出典:住宅金融組合/2016年12月末決済残高)
・学資ローン:1,920億ポンド(約27兆円)
(データ出典:イングランド銀行)
さらには「自動車ローン」(適切な数字が見つからず/すみません)なども乗っかってくるのです。この段階で、家計債務は日本円換算で「約117兆円」。イギリスの(名目)GDPは米ドル換算でだいたい2.8兆ドルですから、日本円では約308兆円。なので、なんと「対GDP比で約38%が家計債務」ということになります。自動車ローンとか他クレジットカードローンの負債なども入れるとこれより膨れ上がるのは確実です。
イギリスの経済はまた不動産投資に大きく依存しています。
誰のエッセイだったか忘れましたが「ロンドンに住むイギリス人の家に招かれ、会話を弾ませたかったら『不動産価格』の話をせよ!」と書いてあって、大いに納得させられました。特にロンドン、その近郊は不動産価格が上昇し続けています。ロンドンに住もうと賃貸物件を探すと、その価格に驚くに違いありません。このような状況があるので、イギリス人は借金をしてまで不動産投資にお金を突っ込んでいるのです。
いつかこれが壁に突き当たることは予想に難くなく、ただでさえ、EU離脱が決まってからイギリスは急激なインフレに襲われています。インフレもあって、収入で負債を支払えなくなったらドボンですね。メイちゃんはこのような国民のお財布の状況をもなんとかしないといけません。ありふれた言葉で恐縮ですが「難しい舵取りが求められます」なのです。
(高橋モータース@dcp)