EUからの離脱を表明したのはいいのですが、イギリスがスタグフレーションに突入するのではないか、という懸念が出ています。
スタグフレーションは、「stagnation(スタグネーション)」(停滞)と「inflation(インフレーション)」(インフレーション:インフレ)という二つの言葉から造られた言葉で、景気の後退と物価の上昇が同時に起こることです。
普通は、景気が後退すると国民の所得が減るので高いものが売れず、そのせいで物価は下落する、つまりはデフレーション(デフレ)が起こるのですが、スタグフレーションの場合には、景気の後退と同時にインフレが起こるのです。これは製品価格に影響する原材料費の高騰などが原因となります。
インフレとは「物価が上昇し(現金の)資産価値が減少すること」ですから、スタグフレーションになると、所得は減る上に持っている物価が上がるという、一般庶民にとって最悪の状況に陥ります。
以前の記事で触れましたが、イギリスの物価は不気味に上昇しています。物価の指標(INDEX)となるCPI(消費者物価指数)を見てみると、2017年の第二四半期には前年同期比で「2.7%」も上昇しているのです(ちなみに2016年の第二四半期には前年同期比1.2%の上昇でした。
EU離脱によって、ポンドはユーロに対して安くなることが予想されます。つまり、イギリスは欧州から物品を輸入するのに「余計にポンドを支払わなければならない」わけですから、これは物価の上昇を進めることになります。
EU離脱によって欧州市場へのアクセスが難しくなりますから、イギリスの景気が後退することも予想されています。というわけで、インフレと景気後退が見事に2つそろい「イギリスはスタグフレーションに突入する」と識者は指摘しているのです。
(柏ケミカル@dcp)