2020年06月16日、北朝鮮が南北朝鮮の共同連絡事務所を爆破という荒っぽい行動に出ましたが、その影響は韓国企業にも出ます。
2020年06月17日、韓国メディア『毎日経済』に「開城工業団地」について指摘する記事が出ました。
融和政策で誕生した開城工業団地のドタバタ
開城工業団地というのは、韓国が北朝鮮との融和政策(太陽政策)の一環として資本を提供し、南北国境付近に造成したものです。
2004年には企業が現地での生産活動を開始したのですが、北朝鮮が弾道ミサイル実験を行ったことを契機として、2016年02月、韓国は操業停止と人の引き上げを行いました。
しかし、その後北朝鮮が独自に工場の再稼働を行っていたことが判明しています。
つまり、せっかく資本を突っ込んだ韓国の企業からすれば全くのムダになってしまったわけです。
文在寅政権は「開城工業団地」の再開を目論んでいたのですが、アメリカ合衆国は経済制裁を優先しているため拒否し、ここまで行えないままできました。
今回の爆破によって、事実上「開城工業団地にある設備」は北朝鮮によって接収された形になるのではないか、というわけです。
韓国企業の損失は「1兆ウォン」に上る
韓国企業が開城工業団地に残してきた資産は「9,000億ウォン」に上るとされています。これが全て水の泡です。
『毎日経済』の記事の一部を以下に引用します。
17日、『開城工業団地企業協会』によると、開城工業団地入居企業120カ社が2016年2月に現地から撤退する際に残してきた資産は、政府に申告したレベルで9,000億ウォンになる。
これはハードウェアをはじめとする固定資産の完成品などの流動資産だけ考慮した金額である。その他の投資損失まで合わせれば1兆ウォンを超えるものと見られる。
⇒参照・引用元:『毎日経済』「開城工業団地入居企業、開城に残っていた資産9,000億ウォン規模」(原文・韓国語/筆者(バカ)意訳)
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による
この企業の損失に対して、保険などを通じて政府が支援した金額はおよそ5,000億ウォンになるとのこと。およそ半分ですから大損です。
「政府が特別な対策を出さない限り、残りの金額は、企業が損失として抱え込まざるを得ない」
という状況です。
逆にいえば北朝鮮にとっては「大得」というわけですが、どうにも解決が難しい問題です。
『開城工業団地企業協会』は開城工業団地の稼働中断を違憲として憲法訴願を、入居した企業の一部が政府を相手取って民事訴訟を起こしましたが、どちらも進んでいません。
(吉田ハンチング@dcp)