韓国の航空会社第1位『大韓航空』。新型コロナウイルス騒動の最も苦しい期間は過ぎたと目されていますが、それは座席を外して貨物運送に徹するなど涙ぐましい努力をしたからで、資金に余裕があるわけでは決してありません。
で、例のソウル市の土地問題です。
ソウル市が本格的に「公園用」指定に乗り出した
ご存じのない方のために、これまでの経緯を簡単にまとめますと以下のようになります。
ところが、ソウル市がその土地を公園にしようと企み、土地の用途の「許認可権」を握っているのをいいことに『大韓航空』から安く買いたたこうとしました。
『大韓航空』は競争入札を実施したのですが、ソウル市が「開発許可」を出さないこと恐れてなんと入札ゼロの結果に。
激怒した『大韓航空』はソウル市を「国民権益委員会」に訴えました。
――という具合に事態は進行しております。より詳細な「あらすじ」は本稿末を参照くださいませ。
つまり、ソウル市地方政府が人の土地の用途を決めてそれに従わせようとしているという「お上の横暴」です。
この邪魔によって『大韓航空』はこの不景気に資金調達できないで困っているのです。
ところが、2020年10月07日、ソウル市が「この土地は公園用です」という指定を行うよう「ソウル市都市・建築委員会」に諮ろうという動きに出た、という報道が出ました。強行突破です。
本件を報じた韓国メディア『毎日経済』から以下に引用します。
(前略)
この問題をめぐって、「国民権益委員会」が先月下旬から両者の調整を進めてきたが、調整の決定が出る前に、ソウル市がこの問題を委員会(ソウル市都市・建築委員会のこと:筆者注)に上程することにより権益調整が有名無実になる公算が大きくなった。(中略)
『大韓航空』関係者は「ソウル市のこのような行動は、信頼を裏切る行為であると同時に、国民権益委員会の仲裁努力まですべて無視する一方的処置」と強く批判した。
(後略)⇒参照・引用元:『毎日経済』「大韓航空松峴洞の土地『公園指定』案件、今日の午後上程」(原文・韓国語/筆者(バカ)意訳)
ソウル市はどうしてもこの土地を公園にしたいようなのですが、実は先にご紹介したように、近所に住むソウル市民の間からは「もうこれ以上公園は要らない」という声も挙がっているのです。
こうなると、ソウル市は『大韓航空』に嫌がらせをしたくてやっているように思えてくるのではないでしょうか。
<<これまでのあらすじ>>
①『大韓航空』は、ソウル市の鍾路区松峴洞(ソンヒョンドン)に敷地面積「3万7,000平方メートル」の広大な空き地を所有している。
②『大韓航空』はこれを「5,000億ウォン」で売却して資金繰りに充てたい。
③ところが、ソウル市が勝手に「この土地を公園にしまーす!」と整備計画を発表。
④当然『大韓航空』は「ふざけるな! オレの土地だぞ」とカンカン。
⑤「じゃあ、その土地買おうじゃないの」とソウル市が相談を持ちかける。
⑥「5,000億ウォンだよ」と『大韓航空』が答える。
⑦「2,000億ウォン(台)で買うよ。それでいいだろ」とソウル市が言う。
⑧『大韓航空』が真っ赤になって怒る。
⑨「ちぇっ。じゃあ公示価格に補償倍率をかけて、4,666億9,300万ウォンで買うよ。あ、建物があるからそれの補償費の4億4,000万ウォンも付けよう。計4,671億3,300万ウォンで買おうじゃないの」とソウル市が言う。
⑩「ふざけんな、時価より安いだろうが!」と『大韓航空』が怒る。
⑪「で(聞いてない)、代金だけど……まず契約金として10%を来年支払って、残りは2022年に支払うよ」とソウル市が言う。
⑫絶句した『大韓航空』が真っ赤になって怒る。
⑬頭にきた『大韓航空』は土地売却のため、競争入札を実施。
⑭ところが! 土地の開発許認可権はソウル市が握っているため、「落札しても開発できない可能性が高い」とどこも入札せず。
まさかの入札「ゼロ」という結果になる。
⑮ソウル市が「それみたことか」とほくそ笑み、公園化を「決まり」にしようと動く(今ココ)。
ソウル市の動きはまさに「お上に逆らうな」というものであり、非常に前時代的な態度だといえるでしょう。
(柏ケミカル@dcp)