せっかく作ったのに……と少し切ない話です。
韓国『SKバイオサイエンス』が開発した韓国産第1号とされるコロナ19ワクチン「GBP510」の生産が暫定中断という憂き目に遭いました。
パンデミックが緩和されてエンデミック(流行が特定の地域で普段から繰り返されること)状況となって感染確定者の人数が減少したため、需要が減少。また、現在拡散しているとオミクロン株への効果が他のワクチンより劣ると判断されたためです。
本件を報じた『ソウル経済』は以下のように書いています。
(前略)
「GBP510」は、オリジナルコロナ19ウイルスをターゲットに開発され、現在世界中で優勢種として位置づけられたオミクロン系列には効果が劣る。国内保健当局も来月16日からオリジナルウイルス対応用に開発されたモデルナ、ファイザーなどのワクチン接種を中断することにした。
現在、国内で接種されているファイザー・モデルナのワクチンなどは、いずれもオミクロンBA1変異を活用して開発された改良ワクチンだ。
(後略)
オリジナル株をターゲットにしたワクチンなので、現在優勢なオミクロンに対しての効果は、他のすでに改良済みのワクチンより劣ると判断されたわけです。
出るのが遅かったのです。
やむを得ないのかもしれませんが、政府からの追加注文がないので、これもまた生産中断の原因となりました。以下のような具合です。
(前略)
22日、政府と業界によると『SKバイオサイエンス』は、政府の1,000万ドーズを買いつけるという決定に基づき、60万ドーズの物量を出荷したものの、政府の追加注文がないため、最近「GBP510」の生産を暫定中止した。会社関係者は「オリジナルウイルス対応ワクチンに対する需要が急減し、完成品の生産を中断した」とし「ただし、海外承認に備えて原料生産は持続している」と話した。
(後略)⇒参照・引用元:『ソウル経済』「[단독] SK바사 눈물…국산1호 코로나 백신 생산 잠정 중단」
※ドーズ(dose)は「一回の服用量」という意味で、1,000万ドーズなら「1,000万回分のワクチン」という意味になります。
いくら出遅れたとはいえ、(契約の詳細は不明なものの)1,000万shot分を買うという約束で、60万shot分しか買ってもらえないというのはひどい話です。
余った分をどうするんだという話ですが、『SKバイオサイエンス』はアフリカ・中南米などに販売することを企図していますが、こちらも目処が立っていません。国際機関の承認がまだ下りないからです。
せっかく作ったのに……なのですが、医薬品とはいえ商品ですから需要がなければ売れません。『SKバイオサイエンス』にとって、また韓国産第1号ワクチンにとってはツラい現実となりました。
(吉田ハンチング@dcp)