アメリカ合衆国が中国に半導体を製造させない・渡さない戦術を取っており、中国最大の半導体メーカー『SMIC』(Semiconductor Manufacturing International Corporation:中芯国際集成電路製造)が輸出管理対象にするなど、中国としては大変困った状況となっています。
焦点は、半導体そのものよりも半導体を製造するのに必須の「部品・素材・装備」に移りつつあり、特にオランダのリソグラフィー装置メーカーである『ASML』が注目を集めています。
先の報道によれば、世界最大のファウンドリー、台湾の『TSMC』は『ASML』製のリソグラフィー装置を一挙に50台注文したとされ、「うちにも寄こせ」と韓国『サムスン電子』の李在鎔(イ・ジェヨン)副会長が交渉に行った、という話があるほどです。
で、問題はリソグラフイー装置が入手困難になっているはずの中国『SMIC』なのですが、台湾メディア『中時電子報』に興味深い記事が出ました。中国メディア『財新』の報道を引いたものですが注目ポイントを以下に引用します。
(前略)
『SMIC』の現在のEUV装置(EUVはExtreme UltraViolet(エクストリーム・ウルトラバイオレット)の略:EUVリソグラフィー装置)は精度の要求を満たせなくなっており、『SMIC』は2018年に『ASML』からEUV装置を購入したが、合衆国が出荷をブロックしたため、『SMIC』の技術開発は7nmで行き詰っている。『ASML』のCEOであるPeter Wennink氏は、同社がオランダから中国の顧客にDUV(DUVはDeep UltraVioletの略:深紫外光)を出荷するためには合衆国のライセンスは必要ないが、合衆国の『ASML』から中国の顧客にDUVを出荷するためには合衆国のライセンスが必要であること、また規制の影響を受ける顧客に直接出荷するためにはまだライセンスが必要であることを述べた、と『財新』が報じた。
しかし、Wennink氏は、7nm以下の最先端のEUVリソグラフィ装置を中国に輸出する際に、合衆国の許可が必要かどうかについては言及しなかった。
(後略)⇒参照・引用元:『中時電子報』「中芯遭斷頭!荷廠爆能賣EUV給大陸 竟暗藏魔鬼」
『ASML』のCEOもさすがにモゴモゴした物言いになっています。オランダから直接出荷する場合でもライセンスが下りないとダメだ、といっていますが、実はこのライセンスが合衆国からオランダ政府への働きかけで止まっているのです。ですので、中国メディアの期待に背くようですが、やはり『SMIC』はEUV、DUVともに必要な装置が入手困難ということになります。
(吉田ハンチング@dcp)