韓国「ドルがない!」は二度とゴメンだ!そこで……

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韓国銀行』は、2020年に外貨流動性が枯渇したことに鑑み(要するにアメリカ合衆国FEDが締結してくれたスワップラインを利用しなければならないほど追い詰められたので)、2021年01月20日、「外貨流動性管理制度」を作り、「外貨の供給システムを改善するためのプラン」を発表しました。

もちろん『韓国銀行』だけではなく、政府の企画財政部金融委員会金融監督院もこれに加わっています。

↑『韓国銀行』が2021年01月20日に公表したプレスリリース

プレスリリースは全6ページで、以下にP.2~4の訳文を掲載します。まず最初の総括部分。

<添付>
外貨流動性管理制度と供給システムの改善方案」を発表

21.1.20(水)企画財政部、金融委員会、『韓国銀行』、金融監督院は「外貨流動性管理制度と供給システムの改善方案」を用意・発表した。

■昨年3月に全世界的なコロナ19拡散にグローバルにドル選好現象が深刻化し、国内の外国為替‧外貨資金市場も2008年の危機レベルの深刻な不安を経験した

特に、証券会社が大規模な派生結合証券、外貨証拠金納入需要に外貨流動性の確保に困難を経験するなど、非銀行圏金融会社は外国為替リスク管理に脆弱性を露呈した

■これにより、政府と関係機関は、非銀行圏の外国為替部門の脆弱性緩和に焦点を当てて、金融会社全般の外貨流動性の管理制度を補完し、流動性供給システムを改善する方策を設ける

要は、

2020年に韓国は2008-2009年の「韓国通貨危機」並にひどいドルの枯渇状況に陥った。しかも、証券会社に外貨建ての追い証が発生し飛びそうになるという前代未聞の事態も発生した。

そこで、非銀行圏、要は証券会社も含めて外貨流動性を管理し、外貨流動性を供給するようなシステムを作る。

といっています。「海外株価連携証券ELS)」という金融商品のために証券会社に外貨建ての追い証(マージンコール)が積み上がり、あわやドボンかという事態になったのは先にご紹介したとおりです。

韓国の「証券会社」に迫った危機的状況【その2】!「1兆ウォンの追い証」という異常事態
先の記事では、韓国の証券会社が「PF流動化証券」によって資金難にあることをご紹介しました。今回は先の記事で積み残した「マージンコール」についてです。再度、先の記事でも取り上げた部分を引用します。証券会社が保証した大規模な「不動産プロジェクト...

↑は2020年03月28日の記事ですが、ある証券会社は(ウォン換算で)1兆ウォンもの追い証が積み上がり必死になってドルをかき集めているという記事が出たりしました。本当にドルが枯渇していたのです。

で、2020年のひどい状況を省みて、証券会社の外貨流動性もチェックするぞ、というのが今回の主旨です。以下がその対策として挙がっている内容です。面倒くさい方は飛ばしても構いません。要は「銀行と同じようにストレステストだってやるかならな!」という方針が語られています。

もし時間に余裕のある方は最後までぜひお読みください。非常に興味深い内容です。

①(金融会社の管理‧対応能力強化)、個々の金融会社の脆弱性を補完するために、「金融グループ単位の外貨流動性管理システム」を導入し*て、金融会社が外貨流動性などの「自己のリスク管理基準**」の策定を義務化する計画である

*金融持株会社のグループ全体の単位で外貨流動性規制比率の算出を推進
**金融監督院のガイドラインに基づいて、各金融会社が危険な状況の評価基準で、対応計画など独自に樹立

②(外貨流動性モニタリング強化)非銀行圏の外貨調達および運用に関する実効性のあるモニタリングのために3種の指標*を新たに導入し、派生結合証券証拠金のような非定型‧偶発外貨需要のチェックアウト・システムも装備されていく予定である

*①外貨資金調達‧受け取り、②外貨資産 – 負債ギャップ、③外貨調達 – 運用満期(※参考2)

これと共に現在銀行券のみで実施されている外貨流動性ストレステスト*非銀行圏まで拡大実施するものである

*市場の不安などのストレス状況を仮定して、金融会社の外貨流動性の状況等を確認

③(外国為替健全性規制の整備)非銀行圏外貨流動性比率※1、銀行券外貨LCR※2は、外国為替健全性負担金※3などの既存の外国為替健全性制度の不備を補完する計画である

※1(残存有効期限3カ月以内)外貨流動性資産/外貨流動性負債≥80%、
→流動性資産の算定時に処分が困難な資産(デリバティブ必要証拠金等)は除くなど

※2流動性外貨資産/今後30日以内に外貨純現金流出≥80%(現70%一刻緩和)
→現行の月単位のチェックで日単位のチェック(暫定値)並行

※3残存満期1年以下の外貨負債(総外貨負債 – 外貨預り金など)に負担金(10bp)賦課
→分割納付期限、回数‧比の調整など弾力的運用に関連する制度の整備

– さらに、証券会社の外貨流動資産保有(派生結合証券自体ヘッジ規模の20%以上)を義務化する一方で、保険会社の為替ヘッジ慣行改善*も並行するものであること

*(為替ヘッジ長期化誘導)1年未満の短期為替ヘッジ時に追加の資本獲得要求、(弾力為替ヘッジサポート)総合ポジション規制比率を20%→30%に緩和

④(政策推進システムと外貨流動性供給体系の改編)「通貨健全性協議会*」を新設し、外国為替部門マクロ健全性を向上させ、機関間のコラボレーションを強化するものである

*各機関が各種の規制比率‧監視状況、ストレステストの結果などを定期的に報告するようにして、危機の際には、外国為替健全性政策の方向など協議‧調整

– これと共に危機時の証券会社の外貨流動性の供給が行われるように韓国証券金融などを通じた外貨流動性供給システム*を用意する計画である

*韓国証券金融自体‧市場調達資金、外国為替当局など→韓国証券金融→証券会社

– また、危機時の民間部門の対外資産が適切に活用されることができるよう旣用意した買戻し条件付外貨債券買い取り制度*を円滑に運用していくものであること

*外国為替当局が金融会社保有外貨債券を買い戻し条件付きの方法で買い取りして外貨流動性を供給する制度(’20 .9.28に既設)

※詳細は、添付資料を参照してください。

⇒参照・引用元:『韓国銀行』公式サイト「『外貨流動性管理制度と供給システムの改善方案』を発表」

リリース内の図のご紹介については別記事にさせてください。誠に申し訳ありません。

(柏ケミカル@dcp)

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