韓国は本当に近代的な法治国家なのか?と疑問を抱かせる話です。
ことの起こりは、『韓国土地住宅公社』(Korea Land and Housing Corporation:略称「LH」)の従業員による、いわばインサイダー取引疑惑ともいうべきものですが、同様のことを行ったのが『LH』従業員に限らず政府の他機関職員や議員の中にもいるのではないかと、燎原の火の如く疑惑対象が広がっているのです。
政府(および公社)の関連部局であれば「この土地が新しく都市開発用地に指定される」という情報を先に入手できますので、これを利用してまだ安いうちに土地を買っておくという手法で行われました。
簡単にいえばインサイダー情報を利用した土地転がしです。しかも、農業をするために買います、などのウソの取得理由で書類を偽造することまで行っていました。
文大統領は徹底的に捜査する、と約束したのですが、疑惑の広がりに韓国民は「上級国民ばかりいい思いをしやがって」と猛反発。
このままではまずいと考えた政府与党は、来るソウル市長選挙でも負けそうなので、国民の歓心と「票」を買うために、インサイダー投機を行ったものを処罰する立法を行い、先週通過させました。
この法には、
という規定が盛り込まれています。
しかし、韓国民の怒りは収まっていません。文在寅大統領の支持率は過去最低(34%)に落ちました。
そこで、政府与党はあろうことか、「遡及適用」を改正法に盛り込もうという動きに出ています。
近代法の精神では、法律は遡及して効果を適用してはならないとしています。その時点の法で裁けなかったからといって、後で法を作って過去の行為に適用するようなことはできません。後出しじゃんけんで先に行われた行為を裁いてはならない――それが法治国家の大原則です。法律の遡及適用を許せば、人間の自由を保障することも難しくなってしまいます。
本件を報じた韓国メディア『毎日経済』から記事の一部を以下に引用します。
(前略)
28日午後、キム・テニョン『共に民主党』代表代行は、上級政府与党庁協議で不動産投機根絶対策立法と関連し、「不十分な部分があると判断されれば、不当利得を没収するための遡及適用の立法に乗り出す」と述べた。
(後略)
韓国は、このような近代法治国家と思えないような発言を行って恥じない議員がいる国なのです。しかも発言者は政府与党の代表代行という地位にある人物。全く呆れるような話です。
(吉田ハンチング@dcp)