輸入が増加しており韓国がコロナ禍の最悪期から脱出しつつあることは確かですが、雇用情勢の回復が見えません。もっとも雇用は最後に回復するなんていわれますので無理もないのですが。
韓国が未曾有の就職難に見舞われていることは、失業給付(日本で言ういわゆる失業保険)の支給額が全然減らないことからも明らかです。以下をご覧ください。
赤い点線が1兆ウォン(約970億円)に引いてあります。
2020年05月に1兆ウォンの大台に乗って高値を継続、10月~2021年01月に9,000億ウォン台となって、なんとか雇用も戻りつつあるのかと思いきや、2021年02月に再び「1兆149億ウォン」に増加。
03、04月は「1兆1,000億ウォン」を超えました。
非常にまずい状態が続いています。何度もご紹介していますが、失業給付を出している韓国の「雇用保険基金」は、よその基金から融資を受けないと存続できないという事実上破綻状態になっています。
また、雇用労働部のデータによれば、04月は失業給付の受給者は前月よりも8万8,000人(13.5%)増加して73万9,000人になりました。この人数は歴代2位の記録です。
韓国政府が金額制限の動き
このように失業給付の金額が高止まりして下がらないので、韓国政府は失業給付の金額を制限する動きを始めました。
・失業と認められるまでの時間を、これまでの1週間から4週間に伸ばす
もちろん、これは事実上枯渇した雇用保険基金をなんとかするための措置でもあります。
具体的には、直前の5年間で3回以上受給した人が対象となります。
3回目:10%減額
4回目:30%減額
5回目:40%減額
6回目:50%減額
とかなりのペナルティーです。ただ、就業と失業、失業給付を繰り返す受給者は年々増加傾向にあり、「2016~2020年失業給付の繰り返し需給の現況」という資料によると、5年間で3回以上失業給付を受けた人数は以下のように推移しています。
2018年:8万3,000人
2019年:8万7,000人
2020年:9万4,000人
社会的セーフティーネットはどこまで支援すべきかという難しい問題なわけですが、韓国の場合、雇用保険基金自体が「助けてくれー」な状況ですので政府の措置もやむなしかもしれません。
お金がないのは首もないのも同然――ですから。
(吉田ハンチング@dcp)