これまでの「NAFTA」(North American Free Trade Agreementの略:北米自由貿易)に代わる北米3カ国の通商協定となった「USMCA」(United States-Mexico-Canada Agreement の略:合衆国・メキシコ・カナダ協定)が合意されました。アメリカ・トランプ大統領自身はこれが非常に大きな成果であることを強調していますが、専門家からは「苦労した割に結局名称が変更されただけ」といった指摘が出ています。「大山鳴動してネズミ一匹」というわけです。
しかし、実はこの新たな合意内容には対中国を見据えた重要な条項が含まれています。それは「第32条10項」です。この条項は「市場経済でない国と自由貿易協定を望む場合には、その協議を開始する3カ月前に、この協定に参加している残り2カ国に通知すること」とあります。つまり、カナダ、またメキシコが「(アメリカが市場経済と認めない)中国のような国家と自由貿易協定を結ぶ場合には、「アメリカ・メキシコ」あるいは「アメリカ・カナダ」の了解を取ってからにしろ、と定めているのです。
中国⇒カナダ⇒アメリカ
中国⇒メキシコ⇒アメリカ
という、アメリカが中国に課した制裁関税賦課を逃れるような形での、つまりは「裏ルート」の通商を潰す意味もあります。
さらには「非市場経済国」との協定が発効した場合には、残り2カ国は「USMCA」を打ち切ることも可能とも定めています。明らかに中国の動きを制限するもので、アメリカの対中国包囲は本気であることが伺えます。
(柏ケミカル@dcp)