メイ首相がEUとまとめたブレグジットの草案は議会の承認を得られそうにありません。保守党(Conservative Party)の一部議員から首相の不信任を表明する書簡(letter)が、1922年委員会(1922 Committee)※に提出されています。このletterが48通に達すると保守党議員によって「不信任案投票」が行われます。
保守党内離脱派の大物と目されているジェイコブ・リース=モグ議員(Jacob Rees-Mogg/上掲写真)はすでにletterを提出しており、議会でも「不信任のletterを書くべきだ」とものすごい皮肉まじりに示唆しています。このモグ議員は非常な原理主義者として有名で、メイ首相も頭が痛いことでしょう。
ただ、逆風ばかりがメイ首相に吹いているのではありません。ここにきて産業界から離脱草案を支持する声が出ています。ただし、合意なき離脱(ハードブレグジット)となった場合についての準備も進めているとのことで、産業界も襲い来る衝撃に備えをしています。イギリス株にどれほどの影響を与えるのかについては想定もできない、というのが本当にところではないでしょうか?
※日本人には全くなじみのない「1922年委員会」ですが、これはイギリスの保守党にある組織です。この組織は各議員の意見を党首に伝えるという役割をします(と説明されることが多いですが、イギリスの保守党の歴史について深く調べてみると、このようにまとめるのは少し端折りすぎと思われるでしょう)。ちなみに、この1922年委員会が設立されたのは1923年。「1922年の選挙で選出された非主流派の議員」のための組織、という意味でこの名前が付いています。
(柏ケミカル@dcp)