中国人のお金持ちを多数中国からEU圏に脱出させてきたキプロスの「投資すれば市民権がもらえる」システムが11月01日に停止します。
この終了のきっかけは、架空の中国人投資家を使ったおとり捜査によるものでした。
「EU市民権」を金で買えるようにしたキプロス
キプロスは「215万ユーロ」を投資してくれたらキプロスの市民権を与えるという、いわば「国籍販売」を行ってきました。
キプロスにとっては「投資資金を集める手段」でしたが、キプロスはEU加盟国であるため、大金さえ積めばEU圏へのフリーアクセスが可能になるという、ある種の人たちにとっては非常に重宝するシステムだったのです。
このキプロスの「ゴーデンパスポート」制度は中国人お金持ちの国外脱出を助けてきました。
先にご紹介したことがありますが、アジアで最も裕福な女性とされる杨惠壹(Yang Huiyan)さんもこの制度を利用した人物として知られています。
おとり捜査によってキプロスに圧力高まる
中東の有名な放送局『アルジャジーラ』は、マネーロンダリングで有罪判決を受けた架空の中国人投資家をでっちあげ、この人物への「市民権の獲得」について政治家が「支援する」と約束したシーンを押さえました。
『アルジャジーラ』はキプロスの市民権をお金で買った人物をすっぱ抜いた、いわゆる「キプロスペーパー」についても報道を行っています。
これが放送されたものですから、キプロスへEU内外から非難の声が上がりました。
ウルズラ・ゲルトルート・フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長は「ヨーロッパの価値観は売り物ではない」とキプロスへの警告を発していました。
このような圧力を受けて今回の「11月01日」にプログラム停止となったのです。
しかし、キプロス側は「代替プログラムを準備するかもしれない」という態度を見せており、これで「市民権を売る」という行為が終わったのかはまだ分かりません。
(柏ケミカル@dcp)