11月16日、アメリカ合衆国のメディアは「トルコのサウジアラビア領事館で行われた記者のカショギさんの暗殺は、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子の指示によって行われた」とCIAが結論付けた、と報道。世界中でそうではないかと推測されていたわけですが、CIAの結論はそれを補強する材料となりました。サウジアラビアとしては、国際的な立場が悪化したといえます。
世界のほとんど全ての国は中世の時代を生きているわけではありません。王が国民の生殺与奪の権利を握るなんてことは決して認められません。サウジアラビアの行為は欧米諸国からすれば全く弁護の余地のない「時代錯誤な行為」で「倫理上の大失策」です。
ただ、先にMoney1でも触れたとおりサウジアラビアは欧米諸国(日本含む)から「アラブ世界で唯一といっていい話ができる国」と目されてきました。また、サウジアラビアもアラブ世界を代表して欧米諸国(日本含む)と話ができる国と自認してきました。このような立場は崩れてしまうことは、お互いにとって全く良いことではありません。
何とかお互いの立場を悪くせず事を収める方法を見つけなくてはなりません。特に3,800億ドル分もの武器を購入してもらう約束を結んでいるアメリカにとっては重大な問題です。倫理上の大失策を、お金の話と天秤にかけてどこまで非難できるのか、トランプ大統領に問われるのはこの点なのです。
もともとが不動産屋ですから、果たしてトランプ大統領に「民主主義国家を代表として重大な人権侵害を侵したサウジアラビアを非難する」といった大上段に振りかぶった声明が出せるでしょうか? なあなあにして「だって武器を買ってくれるからさぁ……」なんて言いだしそうな気がしませんか。
(柏ケミカル@dcp)